ZOOMによるオンライン授業で使えそうな機能3つ

ゴールデンウィーク明けから非常勤先での授業が始まります。
新型コロナ感染拡大の影響を受けて、当面はオンラインでの開講となります。

昨年度末に提出したシラバスは対面授業を前提に組んでいたので、それを大幅に見直して、オンラインという環境に適したデザインに組み替えている最中です。
その過程で、きのう(2020/4/24)はZOOMを使って私のオンライン授業の練習会を開催しました。
学生たちの前でやるのに先立って、とにかく一度オンライン授業を体験しておきたい、と思ったからです。
ありがたいことに、13人の友人が参加してくれました。

きょうは、実際に練習してみて、そしてこれまでに参加したオンライン研修の経験を踏まえて、授業で使えそうだと感じたZOOMの3つの機能についてメモしておこうと思います。

1 チャット

質問やコメントを受け付けるツールとして使います。
対面授業では話の区切りがついたときに質問を受け付けるのが一般的だと思いますが、オンラインだと話の途中であっても学生から質問やコメントを受け付けることができます。
これは対面では難しい(実践するとしたらそれなりの工夫が必要になるような)ことだと思います。

チャットに書き込まれた質問やコメントは、話の最中に回答することも、キリのいいところまで話してからまとめて回答することも可能です。
しかし実際に練習してみたところでは、できるなら質問に気がついたタイミングですぐに答えるのがいいのではないかと思います。
それは、学生が疑問を感じたそのときが一番回答を欲しがっているときなので、後回しにしてしまうと、やはり知識の吸収率が下がってしまうのではないかな、と感じるからです。

ただ、実際にやってみると、話をしながらチャットにも気を配る、というのは、なかなか難しい作業でした。
私の場合、途中で質問を拾うと、元の話線に戻るときに一瞬変な間が空いてしまうことが何回かありました。
かと言って、最後にまとめて答えようとすると、慌ただしくなったり、どの点についての質問だったかがわからなくなったりして、講師にとっても学生にとっても最適ではないと感じました。

チャットにうまく反応するためには、慣れもあるかもしれませんが、余裕を持つことが何より大事なのではないかと思っています。
学生の反応や質問によって内容を補完してもらう、というくらいのつもりで、あまり話を作り込まず、必要最低限のことだけを端的に伝えるのがいいのかもしれない、と考えているところです。

ログを残せるという点も、チャットで質問やコメントを受け付けるとメリットです。
ただ、質問やコメントをただ載せておくだけでは、後から振り返って見たときに、何に対する書き込みだったのかが瞬時にはわかりません。
話が切り替わるタイミングなどで、セクションタイトルのようなものをチャットに書き残しておくと、その問題は解消されるかもしれません。
なにかしおりがわりになるようなマーク(「-」とか「*」とか)を決めておくだけでもいいのかな、と思います。
簡単なアンケートに対する回答をチャットに記入してもらうというワークもやってみたのですが、このときもまずはじめに質問の内容をチャットに書き込んでおくと、後から見直したときに便利だったかな、と思います。

2 ブレイクアウトルーム

ZOOMでは「ブレイクアウトルーム」という機能を使って少人数グループのワークがすぐにできるのが魅力です。
※無料アカウントでも使えますが、設定から機能をオンにしておかないと使えません(デフォルトではオフになっています)。

実際に使ってみたところでは、対面のときよりも議論がしやすいという意見が聞かれました。
ブレイクアウトルームにすると、ホスト(つまり講師)の目が届かなくなるから、というのが1つの理由ではないかと思っています。

ただ、ホストの目が届かないから議論が活発になりやすい反面、議論が停滞してしまっているグループにすぐに介入できない、というのは難点です。
対面授業の場であれば、クラス全体を見渡すことができるので、問題がありそうなグループを見つけやすいです。
一方、ZOOMのブレイクアウトルームでは、ホストが順々に分けられたルームに入退室する必要があり、問題が発生したときにすぐさま気づくことが難しいです(一応、ホストを呼ぶような機能はありますが)。
ですので、ブレイクアウトルームを使う前には、明確な指示をあらかじめ与えておくことがより重要になりそうです。
具体的には、どのような問いに基づいて議論してもらうのか、ブレイクアウトセッションが終わるまでに何を達成しておかなければいけないか、どんなフレームワークを使って議論を進めるのか、などです。

また、これはあるオンライン研修で学んだことですが、ブレイクアウトルームは10分以下の短時間のセッションを繰り返すのがいいそうです。
これも途中での介入が難しいことと関係しているかもしれません。
したがって、対面授業でおこなっていた長時間のグループワークをオンラインで実施するとしたら、10分以下のいくつかのセッションに分割して、全体セッションと平行しながら、小さな成果を積み上げていくのが良さそうです。

3 画面共有

ZOOMに限らず、多くのオンライン会議システムでは画面共有の機能が使えます。
これまでに作成したスライドをそのまま使って授業ができるので、オンライン授業でももっとも良く使う機能ではないかなと思います。

ただ、私が実際にやってみたところでは、あまり多用すべきではないなという印象です。
少なくとも、双方向型の授業をやろうとする場合、画面共有によるスライドの使用は極力抑えたいと感じました。
理由は2つあります。

まず1つは、他の作業との切り替えがスムーズにできない点です。
きのうの授業では、ブレイクアウトセッション やチャットを使ったワークをいくつか仕込んでおいたのですが、その指示の要点をスライドでまとめてありました。
そうすると、スライドを画面共有して、それをオフにしてから、ワークに入ってもらう、ということになります。
1回や2回ならそれでもいいのかもしれませんが、複数のワークをやってもらうような授業を設計する場合、指示を出すツールとしてスライド(画面共有)を使うのは最適ではないな、という印象です。
スライドを使うにしても、必要なページだけ印刷しておいて、それを画面越しに掲げるやり方であれば、よりスムーズにワークに入ってもらえるかな、と後になって思いつきました。

画面共有の使用を控えたい理由の2つ目は、学生の反応です。
これは友人からも聞いていたことなのですが、対面授業と比べて学生の反応が把握しづらいと感じました。
一応、ギャラリービューのウインドウのサイズをなるべく大きくして、一度に見ることができる学生数を増やして見たりもしましたが、目の前に実際にいるのと同じように話すことはできませんでした。
スライドを使いながら話す時間が長くなればなるほど、一人で画面に向かって話しかけているような気がしてしまって、不安になってしまいました。

僕の感覚では、スライドを使って話すのは5分くらいが適当で、長くても10分は越えたくないところです。
もし10分を越えて話をする場合には、いつでも発言を受け付ける余地のあるような話し方にしたり、チャットで積極的に反応をくれるように仕掛けておいたりするなどの工夫が必要になりそうです。

画面共有といえば、ZOOMには「ホワイトボード」という機能もあります。
真っ白なボードにテキストや絵を書き(描き)込むことができ、参加者との共同編集も可能です。
ただ、あまり使い勝手がいいとは言えない印象です。
使うとしたら、学生の質問に対して絵を使って説明したいというような場面くらいで、グループワークなどで積極的に使うのは難しいかな、と感じています(もし何かいいアイデアをお持ちの方がいれば、聞いてみたいです)。
今のところ、グループワークで共同編集をさせるのであれば、Google docsやGoogle spreadsheetsなどを使うのが無難な気がしています。

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