本屋を“森”に例えるか、“海”に例えるか(本屋の回り方解説)
私は本屋を“海”に例える。
一度ここで、それぞれの書店において私がどのように本屋を回るのか、それを解説しよう。
【書店の周り方】
ここでいう書店とは、通常“本屋さん”と言われて思い浮かぶ方の書店だ。
古本が一冊100円で売られているようなお店とは違う方だ。
私はまず、入り口の平積みされている“今話題の本”をさぁーっと見ながら店の奥へ進んでいく。
ここで立ち止まることはほとんどない。
なぜなら、一応私も金欠大学生であるゆえ、基本的に文庫本しか買うことがないからだ。
大抵の平積みされた新刊はどれも一冊1500円前後の単行本であることが多いから、読みたい読みたいとは思いつつも立ち止まることなくスルーする。
あと、だいたいここに積まれている本はどこのお店も似たような顔が揃うから、新鮮味に欠けるというのもあるだろう。
それでもたまに、新しく文庫化された本が並んでいる時や、そのお店独自のイベントなどで前に本が出ている時だけ、少し足を止める。
普段私は小説を読むことが多いので、小説(文庫)の棚めがけて真っ直ぐ歩く。
角川文庫、新潮文庫、ハヤカワ文庫、、、
目当ての本がある時は、その出版社の棚を探し、息を止めて潜るように列の奥に足を踏み入れて本を一冊ずつ目で追う。左上から右下まで。
目当ての本がない時は、文庫の本がある棚の中でも、特に平積みされているものだけをささっと一通り確認することが多い。
ここで平積みされている本は、お店によってだいぶ顔ぶれが違うから、面白い。
文庫本の棚をある程度見終えたら、写真集の並ぶ棚へと足を運ぶ。
ここには私の好きな坂道系アイドルの写真集を眺めるという目的のほかに、芸能人のエッセイだったり、少しサブカルっぽい本が並んでいるから、何かいい本はないかと見落とさないようにのっそのっそと歩きながら見て回る。
それが終わったら参考書、児童書、絵本などが並んでいる棚に向かう。
ここでは、(学級文庫とか作れたらどんな本置こうかなー)とか考えながら歩いている。一応私も教師の卵だ。
ここでは大抵赤本の近くに辞書が並んでいる。
私は、一冊は本格的な分厚い辞書が欲しいなぁなんて思いながら、三省堂国語辞典と広辞苑を開いて同じ言葉を見比べてみる。別に買いはしないが。
最後に、これはお店にもよるが、書店に文房具が並べられているときは必ずそれも確認する。
一応私には文房具を集めることを趣味としていた過去があり、これはその名残だ。
以前より文房具に関する知識は衰えたが、だからこそ、たまに見つける新型のペンやノートには胸を躍らせるのだ。
【本屋を“海”に例える理由】
私がなぜ本屋を海に例えるのか。
一言で言えば、息を止めて潜るという部分が重なるように感じたからだと思っている。
本屋を回るにはそれなりに集中力がいる。
だから全ての棚を、同じ集中力を保ったまま見て回ることは不可能と言ってもいいだろう。
少なくとも私には出来ない。
だからこそ、狙いの棚を定めて、一気に潜るように、本を探す。
海もまた然り。
美しい海底をいつまでも見続ける訳には行かない。人間は水中で呼吸が出来ないらしい。
本を魚と捉えてもいいし、波に捉えてもいい。
私は、本は水だと思う。
次から次に目に入る文字、情報。
少しでも流れに逆らうと、一気に頭がこんがらがる。まさに文字に溺れるのだ。
だから私は海に例える。
皆さんにとって、本屋はなんだと思いますか?
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