小説 日のあたる心 大学偏
お年寄りを助けたい、障害のある方を理解したい。だけどそれってどういうことだろうか?
そういうことが、頭に残ってしまう。そして講義が始まる。この日の講義は、自身で新書を選び、それを要約して皆で発表するものだ。
こんなことが何の役に立つのだろうか?と思いながら学びを深めた。そういえば先生が、社会福祉士は、服装を整えて、靴を綺麗な靴を履くなど見た目から整えることが大切だと話していた。
ふざけんなと思った。なんか安っぽい話だと思った。
その後は講義で、私は人間関係というものについて要約して発表した。すると、ミサというクラスメイトが声をかけてきた。
私も、タケシみたいな人間関係の経験したよ。私は、高校時代、身体が丈夫じゃなかった。それを周りが悪い噂流してさ。辛かったよ。
人と人との関係性って寂しいよね?
今、弟が入院しててさ。大変なんだよ。タケシにお願いがあるんだけど次の講義のこと聞いて教えてくれないかな?テストのこととか。休まないといけなくて。
タケシは、良いよと伝えた。彼女は、人間関係がしんどいみたいだけど、こんなフレンドリーで、社交的で、僕は、その矛盾に葛藤していた。
翌日は2限から講義であった。
先生が最後に述べる。
社会には困り事を抱えていたり、生き辛さを抱えている人がいます。寂しいや悲しいと感じることも多いです。
皆様も日々、悲しみや寂しさを感じると思います。
ただ、同じ悲しみや同じ寂しさはないということを理解してほしいです。
だからこそ、傾聴、非審判的な態度、統制された情緒関与、受容、自己決定、個別化、秘密保持という考えのもと、専門職として関わることが大切になります。
タケシは思う。病院では、医師や看護師がいる。また、白衣などを着ている。僕は、本の要約をして自身の心内を開示したからこそ、こんな僕にいろいろ頼む人がいる。
社会福祉士は、白衣はない。だからこそ服装を整える必要があったのかもしれない。
誰かを助けることで始まった学生生活。
そして、言葉から安心感を与えて、ソーシャルワーク活動してしまう。それがソーシャルワークだと思う。
ソーシャルワークの武器は、言葉や、自身の経験を短く語ること。優しさや温かさを簡潔に伝える専門職だ。僕にはそう思えた。
高齢者や困った人を助けたいなら、学生時代にいろな人と関わり、いろんな人を助け、助けられることだよ。