旅行中、彦根城のお堀に落ちた「おっちゃん」を救出した話
ボッチャ~ン。
彦根城の観光を終え、佐和口の中堀の橋を渡りかけたとき、左手から大きな水音がした。
その音は、耳鳴りや空耳でなく、確かに耳の中に飛び込んできたのだ。
前を歩く、観光客が一斉に、視線を”その方向”に向けている。
ボクも、条件反射のように、左の方向に首を回す。
お堀の水の中に、何かが浮いている。
なに?
自転車?人?
えっ?人!?
周りの観光客も、何が起きたのか、分からなかったのだろう。
そして、数秒後、みんな「え~!どうしたの!?」
という、次の思考に移るのである。
観光客の中の数名が、その方向に小走りで向かう。
ボクもその中にいた。
その時、ようやく状況が把握できた。
* 落ちたのは、どうやら60代後半のおっちゃん。
* 自転車に乗って、お堀の中に落ちた。
* そして、一人では上がれない。
おっちゃんは、必死にお堀から上がろうとするが、
お堀の壁の高さは、意外に高い
お堀の水の水面からの壁の高さは、おそらく1m50cmくらいはある。
おっちゃんは、かろうじて、肩から上が出ている。
つまり、水深は1m20cmくらい?そしてその壁が、その上1m50cmくらい?
あわせて、3m弱の壁の高さがあるということである。
(この状況下で、瞬時に計算している自分って・・・)
おっちゃん、自力で上がろうと試みるも、苔が滑る。
そして垂直に積み上げられた石は、そんな簡単に上れるしろものではないのだ。
ボクら男性陣が、手を伸ばす。
おっちゃんの手が届く。
ボクら男3人が、両手を引っ張り上げた。
ズッ、ズズズ、ジャバー
っていうような感じで、ずぶ濡れのおっちゃん引き上げ終えた。
やったね。ようやく救出!
自転車も引き上げできたのだが、
持っていたバッグのようなものは取れずに浮いている。
おっちゃん、それを引き上げようとするのを制止される。
観光客の一人の男性。関西なまりで言う。
「おっちゃん、気持ちはわかるけれど、しゃーないで。」
そのあと、あの場から立ち去ったが、
あのおっちゃんが、風邪をひいてないことを祈るのだ。
お堀の高さ、ナメタらあかんで!
忍者が上がれなないくらいの構造なんだから。
それにしても、すげーな。昔の人の建築の工夫を感じるのだ。
比較的浅くて、低い壁の場所で良かった・・・。
おっちゃん、これからはお堀の横で、自転車は乗らないでね。
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