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手のひびきと、岩の神様。その3

山頂付近の巨石の大岩を男神として、小岩を女神として祀っている、この神社の創建の伝説。

むかし、このお山には男女ふたりの神さまが暮らしていたそうです。
でも、ある時に男神さま、女神さまの二人とも、それぞれに重い病にかかってしまいました。
お二人は、お互いを献身的に看病し、癒しあって。
それによって、奇跡的に病が治癒したのでした。
土地の人々は、そのふたりの神様の徳をたたえてお社を造り、「大岩」を男の神「小岩」を女の神として祀ったのです。

この伝説を信じ、伝染病や不治の病、そして心が病んだ人々がお参りに訪れました。そして、願いがかない、病が治癒するとお礼の小絵馬を社殿に奉納していたそうです。
祀られている大岩と小岩は、陰陽の関係でもあるのだと。

この、美しい、男女の神様の、古の愛と献身の物語は。様々な深い意味を表しているように感じます。

陰陽のエネルギーの循環。
互いに触れあい、癒しあうことで、バランスが整い、病が消えて奇跡的な治癒が起きること。
かつては、このお山の土地の気は、心身を整えてくれる素晴らしい流れだったのではないかと思います。
そして、たくさんの人々の祈りと信仰により、この神社は栄えていた。
神々と、人々の祈りの交流、感応があった。

それが、長い時の流れの中で何らかの理由によって、祈りを持って、訪れる方も少なくなってしまった。神主さんもいらっしゃらなくなり、廃れていってしまっている。

そのような神社仏閣は、ここだけではなくて。日本中にたくさんあることはわかっています。
でも、お社が傾こうと、荒れ果てようと。人々を待ち、ずっとそこに祀られている神様を思うと。私はとても悲しくなります。

古代からの聖地である、そのお山の山頂に、現在は電波塔がたてられ。
ソーラーパネルが敷き詰められている、、と知ったときは、更に悲しみが深まりました。
そして、産業廃棄物が不法投棄されることもあると。

イヤシロチ、とケガレチ、という言葉がありますね。
かつてはイヤシロチだったはずの聖地を、人間がケガレチにしてしまうことがあるのではないかと私は感じました。
だとしたら、「この地は汚れている」と指をさすのは違うのではないでしょうか。

何故なら、人と大地はつながっているからです。

その4に続く*





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