負を綴る

たとえば
どうしようもない悲しみや
人に言えないほどのつらさを
受け止めてくれる何かがあるなら
すごく頼りたいけれど

今はその気持ちさえ
吐き出すことができなくて
背負うものが増えていく
いったい誰がその言葉を
すくって拾ってくれるのだろう

つらい しんどい
生きづらい いなくなりたい
そう言えばセンシティブと扱われ
結局言いたい言葉のすべては
タイムラインの速度に消えていく

大丈夫ですかと通知が来るのに
肝心なリンク先のセーフティには飛べない
そして助けてと言えない
そんな国に生きている
人は冷たい

負の感情を言えない世界は
気持ちを容易に表すことができない世界で
何も言えずに抱え込んでしまう
その言葉を言うことさえ憚られて
何処にも居場所がない

何処で言おうと
呑み込んでおけと
はね返ってくる
けれどずっと黙っていたら
いつか倒れるんじゃないか

その声が言葉がもっと
誰も何も気にせずに
咎められずに言えるようになったら
少しずつでも
世界が変わると思うのに

人は冷たい
ネガティブになるからと
即座に切り捨てられて
非道な言葉を吐き捨てて
通り過ぎていく

そんな人たちばかりじゃないことは
もちろん知っているけれど
言ってしまったら何もかも
壊れてしまうんじゃないかと
怖くなっているのも事実だ

まだ生きていたいんだ
死んだら言葉もすくわれない
この負の感情も
生きている証拠なんだ
誰が何と言おうと

だから綴る
今あるすべての負の感情を
誰にでもあるはずの負の感情を
少しずつ晒して少しずつ
笑われても生きやすくなりたい

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