『弱くてキモくて意味もなく悪いことをしてくれるバイキンマン』を誰もが欲しがる
イノタコNote十一段目
前回、少しだけ触れたことについて今回は語っていこう
『現代日本の老人には、いつまでも中高生マインドを捨てられず、社会人としての責務を果たさずに中高生向けRPGの主人公の様なことを現実でやっているバカが結構居る』と語った
厳密には
老人の属性でなくても、この手のバカはあらゆる所に存在している
そして
ソイツ等に共通している特徴として『弱くてキモくて意味もなく悪いことをするバイキンマン』という実在しない幻想に惑わされているということだ
そのバイキンマンとは何なのか、何故そんなことをするのか
度々X(旧Twitter)で私が語っていることを、このNoteで詳しく解説していこう
質問、意見、反論は受け付ける
ただの悪口は即座にブロックする
因みに
私は宝田六花やライザより、太ももとケツがデカい
『弱くてキモくて意味もなく悪いことをしてくれるバイキンマン』って、そもそも何だ?
まず、バイキンマンというキャラクターがどういう立ち位置なのかを説明する必要がある
特に説明する必要もないが
バイキンマンとは『それゆけ!アンパンマン』にて、常に悪者キャラとして暗躍しているキャラクターである
平和で善良な人々しか基本的に存在しないアンパンマンの世界で、何千回痛い目を見ても悪党をやり続けるというかなり珍しいタイプの住人である
では
タイトルの通り、バイキンマンは弱くてキモくて意味もなく悪いことをしているのかという
実を言うと
バイキンマンは本当は3つの要素がどれも当てはまらないのである
①バイキンマンは強い
まず
バイキンマンはいつもアンパンマンに負けているから弱いイメージがあるが、そんなことはない
厳密に言うと
アンパンマンが強すぎるのである
アンパンマンのスペックを見てみよう
・自由に空を飛べる
・頭部を巨大なハンマーで殴られて歪んでも『力が出ない』で済ませる
・頭部を交換するだけで、回復する
・バイキンマンを搭乗しているUFOごと、パンチ一発で地平線の彼方まで数秒で吹き飛ばす
特に最後がおかしい
バイキンマンのUFOはどう考えても少なくとも自動車一台分の重量があるし、そのUFOに格納している武装の大きさと量も相当なものなので、更に重量は増える
そんなものを地平線の彼方まで数秒で吹き飛ばすパンチとか、もうインフレしすぎたバトルマンガの領域である
作品の雰囲気の所為で感覚が麻痺しがちだが、こんなのドラゴンボールのキャラとして戦っていてもおかしくない
そんなアンパンマンに
毎回の様に挑み、技術力と狡猾さだけで毎回のようにあと一歩まで追い詰め、アンパンチを喰らっているのにピンピンしている
どう考えても
バイキンマンは強いのである
②バイキンマンは可愛い
次に見た目の問題だが
バイキンマンはグッズも多く販売しており、子供達はそれを喜んでいる
あれだけ悪事を働いているのにだ
この後に詳細を記すが
これは何もおかしいことではない
バイキンマンは、子供達に人気が出る様に予めデザインされているからだ
産まれたての子供は
丸みの帯びたものを好む傾向が強いことが分かっており、アンパンマンの需要キャラはこれを満たしている
バイキンマンも丸い顔、丸い触覚、丸い手足と
子供達に好かれる見た目をしている
強いていうなら
子供の主観だと『バイキンマンよりも、イケメンキャラ設定の筈のしょくぱんマンの方がキモい』かもしれない
他にも
『はひふへほー!』の口癖など、仕草に関しても悪役ながら愛嬌があるように上手く描写されている
アニメスタッフの長年の試行錯誤によって
今の愛されているバイキンマンが出来たとも言えるだろう
③バイキンマンはあくまで『ヒールレスラー』である
最後にバイキンマンは『意味もなく悪いことをする』かどうか、という点だが
単純に考えればその通りである
バイキンマンは常に悪いことをしようと画策しており、その理由も『悪いことそのものが楽しいから』である
『何か得があるから、デメリットはあるけど悪いことをする』『アイツのことがムカつくから、嫌がらせをする』『生物として生きるのに、相手を殺して食べたり、住処の確保のために追い出す』のが悪行をする動機となるのが普通なところ
バイキンマンは『悪いことをしたいから、悪いことをする』という、訳のわからん生態をしている
しかし
それはあくまで『本編の中』での話だ
今日もバイキンマンがアンパンチで吹き飛ばされ、平和なジングルが流れてアニメが終わると変なことが起きる
アンパンマンがバイキンマンと一緒に楽しそうに笑うアイキャッチが流れるのだ
おい、さっきまで
殺し合いレベルの戦闘をしていたお前達はどこへ行った
すかさずEDテーマが流れる
そのEDでは
バイキンマンがアンパンマン達と一緒に仲良くダンスし、歌詞にはバイキンマンのことも言及されているのだ
そう
バイキンマンはあくまで『ヒールレスラー』であり
本編では番組を盛り上げる為にワザと悪いことをし、ワザと負けているだけで
番組が終わったら
バイキンマンはみんなと仲のいい、いいヤツに戻るのだ
なので
本編中の『悪いことをしたいから、悪いことをしている』というのは、嘘なのである
だから子供達にも、バイキンマンは好かれているのだ
(現実とフィクションの判別は、一歳近くには既に付くようになるケースが多いという研究結果が出ている)
以上3点を踏まえて
バイキンマンは強いし、可愛いし、悪者じゃないことが解る
しかし
何故、バイキンマンは『意味もなく悪いヤツのフリをして』、『シナリオが面白くなる様に負けてくれる』のか
そもそも
『面白いシナリオ』とは、何なのか
それは
アンパンマンを究極の正義のヒーローに仕立て上げること
である
バイキンマンが居ないと、アンパンマンは普遍的な正義になれない
もしも
バイキンマンが『生物として生きる為には悪事を働くしかない、それをしないと死ぬ』という設定だったらどうなる?
そんな理由があったところで
アンパンマンはバイキンマンを退治して死なせることで住民のことを守らなければならないが、そんなことしたら後味が悪いしアンパンマンはある意味悪者になってしまう
もしも
バイキンマンが悪いことをしないで、平和に仲良く過ごしていたらどうなる?
アンパンマンは暴力を振るうとアンパンマンの方が完全な悪になってしまうので、アンパンマンはひたすら空を飛んでパトロールを続けて『よし、異常なし♪』が延々に続くだけという、何の魅力もない番組になってしまう
もしも
バイキンマンが物凄く強くて、アンパンマンがフィジカルを使って勝てなかったら、どうなる?
アンパンマンは
政治的手段や卑怯な手を用いて勝ったり、譲歩や取引を行って『美味しい思いさせてやるから、悪事は働くな』とやるようになる
これも
話としては、面白くない
そう
それいけ!アンパンマンの面白さは
『アンパンマンが絶対的に正しく、アンパンマンが気兼ねなく暴力を振るうことで物事を解決させる』ことにある
これを成立させるには
バイキンマンが『特に意味はないけど悪いことをしてくれて、アンパンマンを苦戦こそさせるが必ず負けてくれる』という超がつく程の不自然な存在を演じる必要があるのだ
そして
アイキャッチやEDテーマでアンパンマンと仲良くしてるシーンを流すことで『番組中でバイキンマンが悪いことをしてるのはお芝居であって、本当は悪いヤツじゃないし可愛いよ』と子供達に認識させることで
友達をバイキンマン呼ばわりして
一方的に正義のアンパンチをさせることを防いでいるのである(それでも行う子供は一定数居るだろうけど)
アンパンマンを実在させる為に、劇中のバイキンマンが実在して欲しくなる
ヒーローものの面白さの原点が
『それいけ!アンパンマン』にあるように、他のヒーローものでも同じ手法を用いられている
例えば
時代劇の代表である水戸黄門では
水戸光圀が気ままに旅をしていたら、行き着く先の町では
何故か、必ず
『地元の殿様が何となく悪いことをしており』、『水戸光圀なら解決出来る糸口が必ずあり』、『刀を持った大勢の部下という圧倒的な武力を持っているが、助さん角さんどころか水戸光圀のたった数人に無双される(あと最初から印籠見せろや)』
という
超不自然な展開が毎回の様に行われている
これも現実的に考えるなら
『行く先々の悪代官がバイキンマンの様に
水戸光圀が来たら意味もなく悪いことをして、ワザと負けてくれる』という演技をしてくれるという完全なやらせ展開で、やっと成り立っている
しかし
それいけ!アンパンマンと違うのは『悪代官はキモくて、愛されない』ということだ
悪代官役の俳優は毎回変わるし、愛嬌もない
番組が終わったら、水戸光圀と悪代官が仲良くダンスするということも行われない
こういった作品は、ごまんと存在している
ヒールレスラーのお陰で
面白いご都合作品が作られているのに、まるでヒールレスラーが愛されていない
これは
アンパンマン以上に理想的なヒーローを作る為に行われている
ヒーローはいくら強くなろうと、どれだけ華やかになろうと、超極悪な敵の存在がなければヒーローにはなれないし
『悪役はお芝居してるだけで、本当は悪くないヤツです』と種明かしされて、ヒーローはやらせだと教えられると萎えてしまう
そういう人々の要望を応えるべく
『演技じゃなくて本当に意味もなく悪いことしていて欲しいし、ひたすらキモい見た目で、気持ちよくやられてくれる丁度いい強さの、ご都合すぎる敵キャラ』がどんどん増えていったのだ
これが私の言う
『弱くてキモくて意味もなく悪いことをしてくれるバイキンマン』だ
余談になるが
逆にキモくない見た目ならば、極悪なキャラでも視聴者は『愛嬌のあるヒールレスラー』にしてしまう
分かりやすい例が
葬送のフリーレンの『断頭台のアウラ』だ
このキャラは
ガチモンの大悪党かつ物凄く強く、人類に大迷惑をかけている種族だ
そして
主役のフリーレンを引き立たせる為に、もっと強いフリーレンに呆気なく倒された(なんとアニメだと、その登場時間は7分である)
モチロン
その後EDで、アウラがフリーレン達と仲良くダンスすることはない
しかし
アウラは二次創作では何故かピンピンしており、フリーレンの隣で弄られキャラとして愛されているのが現状だ
人間とは
つくづく浅はかである
まぁ、だからと言って
『敵キャラを無駄にキモく、愛嬌なく描くフィクションを楽しむな!!』
『見た目がいいだけで、やってることはゴミカスなアウラみたいなキャラを愛でるな!!』
となる訳ではない
むしろ
そういう欲求は人間なら誰しもあり、フィクション内でその欲求を解消するのが一番いいぐらいである
大事なのは
『絶対的かつ普遍的な正義を行うには、バイキンマンの様な不自然な存在を先に用意した場合のみ』ということを理解することである
逆に言うと
『バイキンマンみたいなヤツが実在してないのに、正義のヒーローなんか誰もなれねーよ』
ということだ
さて
本題はここからだ
現実の悪者は、2種類居る
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?