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結局スポーツビジネスってなんだ。

スポーツビジネスってなんだろう。

FC町田ゼルビアのサポーターミーティングで、サイバーエージェントの藤田さんがプレゼンした時の違和感。株主や社員総会で話すような資料で、現場のサポーターよりもYoutubeで視聴している誰かに向けたもののように感じた。

リブランディングの戦略、方針、上場企業の社長としてサッカークラブに11億円出資することのリスク、ステークホルダーへの説明の必要性。

『TOKYO』と呼ぶことが世界へ繋がる、それが海外からの人材獲得やスポンサー獲得のためにも有効であること。プレゼン内容はよくわかる。

Abema TVの赤字のうえに、さらに赤字クラブへの投資。CA社員で、特に稼いでるインターネット広告事業の人だったら、自分たちの頑張りがそこに投資されてることに反対も出るだろうし、株主からの反対も当然あると思う。そういう意味では上場企業の社長のプレゼン内容として普通に理解できた。

ただ、今回焦点になった”ゼルビア”という名前を外すところに関しては、急にロジカルではなく感覚的で、「長いから?」「覚えにくいから?」この回答に納得できる人は少ないと思う。

名称変更に対して、「ゼルビアが積み上げてきたものの価値を否定された」と質問したサポーターに対して、「投資する価値・ポテンシャルがあるから11億も出してる」と回答した時に、結構なズレがあり、基本的に地域名とニックネームで構成されるJクラブの名前に込められた歴史と、そこを取り巻く人の”価値観”や”感情”の理解が足りてないんだなと思った。
(今回の一連の流れがプロモーションの一部だとして、理解が足りてないように振る舞った?とすら思う程この点に関しては違和感があった)

単にビジネスの対象として「伸び代がある」というような回答をしてしまうところに、一般ビジネスとスポーツビジネスを同じくして考える危うさがある

スポーツを投資対象として、将来的に稼げる産業にするのには大賛成。
自分自身も、やりがい搾取ではない、本当の意味でのドリームジョブにするという志で、大きくキャリアチェンジしてサッカー界に飛び込んだ。

この夢と感動を与えられるスポーツの世界を、ロジックだけで語れない、感情が動くビジネスという捉え方が足りていないことは、業界の外から入ってくるビジネス人材と呼ばれる人は改めて考えないといけない。業界を変えるのはオーナーやコンサルではなく、実際に選手やサポーターとやり取りして、現場で自らの知識やスキルを投入する人材が躍動しないと難しいから、そこが正しい判断の基軸を持つ必要がある。

今回まずかったのは、この一連の流れがもし藤田さんのプロモーション戦略だったとしても、こんなに不十分な状態でサポーターミーティングを迎えることに、現経営陣があまり危機感を持っていなさそうなこと。(あくまで個人の意見です)
契約段階で名称変更は決まっていて、さらに会見では「かなり早い段階でサポーターに説明しないといけない」と言っていたという藤田さんの発言があったにも関わらず、ここまで詰まってない内容で世に出したこと。

CA側はJクラブにおけるサポーターの存在や関わり方、ホームタウン活動について想像が弱かったのかもしれないけど、今回の質疑応答の展開は、クラブの中の人間は明らかに想像できるレベルだった。

結局、スポーツビジネスってなんなんだろう。

スポーツビジネスの成果を「あらゆる数字を稼げたかどうか」だけで判断するのではなく、最終的にはそれが「文化になるかどうか」。

文化になるというのは、老若男女問わず街にどれだけユニフォームを着た人が増えたか、子供たちの服装や身に付けるものにクラブのカラーが増えたか、学校や家庭でクラブが話題にのぼるかなど色んな尺度で見ることができる。

ビジネスプロセスは、まずお客さん・ファンを増やして、グッズが売れ、露出効果も高まるからスポンサーが増え、資金が潤沢になりチームが強くなる。そして強いチームを見たくてまたファンが増える。
このプロセスを回す必要がある。

その過程で、明確なロジックのもとに稼ぐこともあれば、逆にロジカルではなく感情的に喜び、涙することで顧客が増え、稼ぐこともある。
その両方がバランスよく成立してクラブが街の文化になる。

このロジカルとエモーショナルのバランスがとれる人が、オーナーや社長の近くにいるかどうかって結構大切なんだと思う。

自分自身、SHCにいた時と、今とで考え方もだいぶ違うところもあるから、この辺はまたみんなと議論したいとこでもある。

お客さんが喜ぶことを考えて、ニーズを掘り起こし、ファンを増やして、興奮と熱狂、楽しみを与え、将来的に何世代にも渡って受け継がれる街の文化や景色をつくること。

そこにはもちろんお金も必要で、合理的な判断や決断力、資金を投入して強くなることも重要。

業界の中と外で分ける必要はなくて、大切なのはクラブの中で持つべき軸。
この判断の基軸が個人としても組織としてもしっかりしていなければ、外からの助けを活かせない。

誰も答えを持ってないと思うけど、選手や事業部、強化、スポンサー、サポーター、行政、スタジアム関係者など、とりまくすべてのステークホルダーとのバランス感覚は大切だなと思いました。

町田はこれからどういう方向になるかわからないけど、これは他人事ではなく、自分たちにだってその時は突然やってくる。今後確実にスポーツは投資対象になるから、その時にクラブとして正しい判断の基軸を持つようにしたい。

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よろしくお願いします🙇‍♂️