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ちゃありい

ちゃありい
茹でた卵をお前は食べた
揺れる白身が殻の中から現れただろう
その中にはまん丸の黄色い球体
一羽の鶏を食べたのは
ちゃありい、お前だ
ほら
冷蔵庫の中で十羽の鶏が出番を待っている。
祝祭の前は卵も産みの親も大忙しだ
インフルエンザにかかって命を落とすなかれ

ちゃありい
お前は、ただ鶏を食らう
お前は謙虚を美徳とし
貧しくも心清らかに
美の求道者であろうとしたのか
清貧とアヴァンギャルドという美徳の鏡を手にしたお前は
鏡に映る自分の姿を見たか

権威と富と名声を求めるお前が
キラキラ光り輝いてそこに写っているだろう
それでいいのだ、ちゃありい
それこそがお前の誠実な姿だ

ちゃありい
自分を犠牲にするなかれ
生の息吹は善悪の彼岸
心から悔いることは鏡に映らない
鏡の背後で小さな扉が半分開いている
その小部屋には
ホモサピエンスの秘密が記された書物があるだろう

菌類に寄生し頭に花粉をたっぷり乗せて
花の宴を繰り返し
恐竜の子孫を飼い慣らす
鶏はお前の腹の中に丸ごと入ったろう

ちゃありい、自分をきちんと愛せよ
鏡の中の扉の上で
鶏はポトリと糞を落とす
見逃すな
ちゃありい
鶏の糞をきちんと愛せよ



©️松井智惠                2024年1月28日筆

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