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03大魔王サタニズマグッジョブ軍


 我らが大魔王サタニズマグッジョブが蘇ったぞ!
この地上を統べるため、すべての地を這うもののために、
復活を遂げたその姿を見よ! 二つの角と見開かられた、
額の瞳、そして、青きマント、古の力を受け継ぐ鎧を見にまといし、
だれもが認める大魔王サタニズマグッジョブの再びの、
地上支配が、我々を真に、大魔王の庇護のもとで生きる、
すべての魔物たちを導いてくれる! そうだ、
大魔王サタニズマグッジョブ軍に加わろう!
皆、共にすすめ、偉大なる大魔王の覇道の道を!
サタニズマグッジョブ!
サタニズマグッジョブ!
サタニズマグッジョブ!

1、目覚め、そして出発

 目が覚めた時、大魔王サタニズマグッジョブは、
自らの王宮である、大魔王殿の玉座の前にある魔方陣に立っていた。
「お目覚めですか? 大魔王サタニズマグッジョブ様」


「うむ? お前は?」
 サタニズマグッジョブは長い長い眠りについていたので、
その眠りの長さは千年単位ともなり、さすがに配下のものすべてを、
覚えているという事は無い。 大魔王殿の作りさえ作り替えられ、
見知ったものではない、調度品で溢れかえっている始末である。
「私はカマキュラル、頭の刃で何もかもを両断する魔物、
 そして、大魔王サタニズマグッジョブ様の忠実な僕です」

「ふむ、よきにはからえ、そして、そこのデカブツは?」

「は、ファイヤーギガースでございます、はらあいさつをしろ」

「よう! 大魔王様! だがよう! ちっちゃくはねえか?」

 確かにそうである、大魔王サタニズマグッジョブという名前に反して、
そのサイズは見てとる限り、少年であった、からに、

「貴様! 大魔王様になんという無礼な事を!」
カマキュラルが刃をファイヤーギガースに向けて、
飛びださんとしたのを、大魔王は手で静止した。

「よい、私とて完全復活とはいかなかったのはわかっている。
 まだ力が充分ではないからな、お前らの力、借りるぞ」

「は、大魔王サタニズマグッジョブ様!」

大魔王は、前に進み、広間に待つ、魔物たちの気配を察して、
自らのオーラを強く出して、これに挑む。


2、大魔王に拝謁する魔物である部下たち

「みなのもの! 我は復活を果たしたぞ!」

「おおぉーーー!!!!」


ゴロル、ヤリブリン、アオムシマン、ボウソウガー、モノアイクロプスの賢人、物見のゴブリン、恐竜ギオス、お喋り鳥ガアガア、黒いローブの鼻高族
数えきれない、魔物たちが、広間にはいた、それぞれ大魔王に拝謁する。

 まず左右を固めるゴロル族のゴロル二人組は、
「いついつまでも魔王様の左右を守っていく所存!」

「うむ、お前ら少し見た目がちがうのだな」
左右とも全く同じ体格というわけでなく、
これもゴロルの不思議と言ったところか、

とりあえず目に見えるものを列挙しよう、
そうしていけば、大魔王サタニズマグッジョブも、
大体、現在自分がどういう立ち位置なのか分かるはずだ。

次に前で群れ立つ魔物を抑えているヤリブリンの二人、
仕事熱心そうで、無言で、働いている。
彼らはゴブリン族でも抜きん出ている突然変異種が、
やがて定着して、選ばれた血統でのみその職務を全うする、
血統書で決まった、役職を持つ特殊な魔物である。
無論、そのようにして魔物が進化してきた歴史もあるのだが。

 アオムシマンは緑色で、一見して角を生やした蜥蜴かと見まごうが、
主食は自然豊かな緑、草ばかり食べているのでわりにおっとりしている。

「大魔王様万歳! サタニズマグッジョブ様万歳!」

 それとは逆の紫色のボウソウガーは魔物の中でも畏れられる、暴走機能がついているのである、そうなるとうるさい。

「うおおおおおおおお! 大魔王サタニズマグッジョブ様万歳!」

 一つ目のモノアイクロプスの賢人はローブをまとって、大魔王を覗きこむ、その眼は何者も見通す、強力な鑑識眼。

「大魔王様、どうも新しいお体はまだ馴染んでおられぬようですね」

「カラダに新しいも古いも無いが、どうやら今回の復活は、
 そのあとが時間が掛かりそうなのは確かだな」

「なんだ、人間みたいだな」

物見のゴブリンは、身分の低いゴブリン族から、特別に、ここに通された、
そんな折に発した言葉がこれとなると、

「こら! キサマ! 迷惑だろう!」

ヤリブリンの槍でつつかれて追い出されそうになったが、

「待て、お前の言うとおりだ、どうやら人間が触媒となっているようだ、
 魔族としては抵抗感があるだろうが、慣れろ、それしか、
 お前らの生き残る道はない」

大魔王はオーラを高めて、威厳を保つ。

「ギャギャオー! 大魔王様のこのオーラは確かな物だギャオー!」

恐竜ギオスは、魔物族の中でも最近喋れるように、魔族特化してきた、
ところで、大魔王の復活となり、若干興奮気味である。

「それだけではなく、スマートなお体がより鮮明にオーラを、
 発しており、そうです、ただの魔物ということだけでなく、
 人間としての側面も持ち合わせ、人間が使えるという、
 聖なる力も我が物と出来る格を持っていると見受けられます」
お喋り鳥ガアガアのお喋りで明らかになった、
大魔王サタニズマグッジョブの特性、そう、人間属性を、
手に入れた大魔王は今や聖なる魔法も使えるのである。

「お前らは苦手だろうがよく見るがいい、
 これが神聖系魔法、ホーリーライトだ!」

広間に黄色く光が走る、これが大魔王の手に入れた力か!

「なるほど、人間体安定を得ることで、
 もし人間が神聖属性の塊である勇者をぶつけてきたとしても、
 属性的に、押し負けないという、天性の操作ですな、
 人間体として復活すれば、おおよそ天界のものさえも、
 大魔王様には手出しはできますまい」

黒いローブの鼻高族ジッラは、大魔王の威光を讃えた、
こうして広間で拝謁に来たものたちとの面会は終わり、
大魔王サタニズマグッジョブは!

「さて、外へ赴くぞ! 集まっている奴らを教えてくれ!」

「はい、ゴブー! まずはゴブだゴブー!」


3、大魔王、ゴブリンの軍団と出会う

「ほう、船型の迫出しがあるのか? この城というのは、
 なかなか見事な眺めだな、と、ゴブリンども!
 訓練でもしているのか?」

「はっ大魔王サタニズマグッジョブ様!
 我々、ゴブリンは放っておけば怠けてしまうので、
 大魔王様が復活するまで魔王城下で、
 ずっと訓練しておりました!」

怠け者と呼ばれるとはいえど、士気は充分だ。

カラスオニドリの二羽がやってきて、告げる、
「大魔王様、ゴブリンにかまけてる場合ですか?!
 家臣の者どもが続々と集っておりますぞ!
 早々と皆の下を周ってくだされ!
 復活の折、お疲れの事とは思いますが!」

「うむ、時間が惜しくはあるな、
 ゴブリン達よ、そのまま訓練を続けよ、
 世界を巻き込む大戦争は近い!」

「はっ!」

大小様々なゴブリン達は、
大魔王から掛けられた声に一同、身を正したようにして、
再び、訓練に戻っていった。
 大魔王、サタニズマグッジョブの魔力に当てられた魔物は、
格が、引き上がるようでもある。 もはやただのゴブリンで、
無いことは明らか、ソルジャーゴブリンの誕生である!
 これが大魔王の力なのか?


4、大魔王、単眼種のすすめでギガースの軍へと

「大魔王様! 我らがカラスオニドリに続いてくださいませませませ!
 さすれば、手早く、この魔王城と城下を周ることができますぞー!」

「鳥め、そうはやし立てる出ない、次は一体何者が、
 待っているというのだ? むっこのオーラは」

「さて、わたし達モノアイクロプスが紹介いたしましょう!
 筋骨隆々のギガース達でございます!」

 ソルジャーゴブリンが、ギガースの群れを整列させると、
一斉にマッチョポーズを決め始め、なんだかむさくるしい。

「うん、確かに強そうではあるな、だが、
 それがどうしたというのだ? 魔力が筋骨隆々にしており、
 確かに奴らの巨躯は認めるが、我らの本懐であるところの、
 冥府魔導を行く、心得とは別種だと感じられるが、むっ?」

モノアイクロプス達は大魔王が普通顔で何がしかを悟ったのを、
見て、ほくそ笑んでいる、そう、ギガース達のこの熱気にこそ、
秘密があったわけだ。

「さすがは大魔王様! お気づきになられましたか!?」

「闘気か、なるほど、魔力ではなく闘士としての、
 チカラを高めたというわけか、ならば、
 ファイターギガースとして充分に戦えるだろう、 
 前線で我が軍を支えてくれ」

 おびただしい量の熱気が辺りを包み込む、
それが闘気と呼ばれるあらゆる種族に通じる、
戦士や闘士の圧倒的な力差をもたらすものだと、
大魔王サタニズマグッジョブは悟ったのだ、
ならば、この先、どれだけの戦いも越えられるだろう、

「大魔王様! 次! 次でございます!」

「うむ」


5、大魔王、亡者の群れに喝いれる

「どうしたことだこの有様は!?」

見るとそこは死屍累々のおびただしい数の、
死体安置所といったところか?
それにしては荒れているし、死体が折り重なっている。

「はっ大魔王様、彼らは生きている死体、
 アンデッドでございます」

「む、お前らはだれか?」

幽霊を引き連れた、二人の鬼っ子が着物を着てそこに立っていた。

「申し遅れました、此処よりはるか東方の地、タイワより、
 大魔王様の軍勢に加わりました赤鬼と青鬼でございます、
 現状のアンデッド達は主の力を求めて、
 地に伏してる有様です、なにとぞ、彼らにお力を」

アンデッド達は大魔王の存在があっても、
未だに横たわったまま、死屍累々を貫いている。 ので、
さすがの大魔王もキレた。

「お前らは! 大魔王軍の一角を担う役割がありながら!
 いつまで寝ているのだ! 我は目覚めたぞ!
 我が名はサタニズマグッジョブ! 貴様らの主である!
 我に従え! 立ち上がれ! アンデッドの軍勢よ!」

アンデッド達はうろたえながら、たちあがる。

「お、おお! 大魔王サタニズマグッジョブ様!
 まさか復活なされたとは! しかもジューシーな人間体で!
 これはよだれを垂らさずにはいられまい!」

群れをして大魔王サタニズマグッジョブに、
山となって折り重なるアンデッドの山で、
大魔王の下に大きな人だかりが出来たが、

「えーい! 貴様らの餌になるために蘇ったわけではない!」

サタニズマグッジョブの一蹴! 強大なオーラによって、
弾かれると、たちまちアンデッドは整列を始めて、
軍規がしっかりした、統制のとれたアンデッド軍団となった。

「さすがです、大魔王様、
 魔力で触れただけで、アンデッドの士気を、
 立ちなおされるとは!」

「ふん! ふぬけを立たせただけの事だ!」

「お、おお! 我が主!
 大魔王サタニズマグッジョブ様!
 我らがゴースト部隊の導きのもと、
 次なる魔物の下へ参りましょうぞ!」

赤鬼と青鬼、鬼族から一度離れると、
大魔王サタニズマグッジョブは再び、
歩きはじめた。


6、大魔王、オーガの一族と出会う

「ほう、業物を持って、
 しかも一族が死したのちは、
 オーガファントムとなって、
 オーガに霊気を纏わせて、
 チカラとなるとな?
 貴様ら、優れた霊力を持ち合わせるようだ」

「ははー! しかし、大魔王様には遠くおよびませぬ!」

大魔王がオーガの角をちらと見て、自らの大きな角を誇って前を歩く。

その様を、他のオーガの一族も見守り、
「あれが大魔王様か! 噂にたがわぬ、立派な角をお持ちだ!」
「あれほどのツノ! 他のオーガは持ち合わせておりませぬ!」
「なんともうらやましい!」

こういわれて大魔王、サタニズマグッジョブも、
まんざらではないのか、ちらと、大衆となって、
羨望の眼差しを大魔王に向けるオーガの一族へ目をやる。

「おお! 大魔王様がこちらを見てくださった!」
「ははー! 有難き幸せ!」
「我らオーガ族、どこまでもあなたのお供をいたしますぞ!」

まあ、とにかく、この先へ進んでいくことになる、
今の所、魔族の種族構成を見ると、ゴブリンとモノアイクロプスが、
多く底辺を支えており、その次にオーガが来るといったところか?
 大魔王はこの先にどんな配下が待ち受けているのか、
気になっている様子である。

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