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【毎週ショートショートnote】「スナイパー」「の意外な使い方」

「仕事を依頼したい」
酒場で酒を飲んでいると、向かいに座った男が新聞紙越しに話しかけてきた。
「俺を誰と知っての依頼か?」
そうでなければいきなり話しかけては来ないだろうがタダ働きは御免だ。
「この業界でお前を知らない奴はいない。どんな遠い場所からでもどんな弾でもターゲットに正確に届けることができる遠距離射撃がウリの凄腕スナイパーだ」
そう言って男は厚みのある封筒をこちらによこした。中身を確認するとしばらく酒に困りそうにない紙幣が入っていた。
「まだ名は通っているんだな。で、誰を殺せばいい?」
「殺しじゃない。運び屋だ。年俸制でお願いしたい」
運送業界の通称2024年問題。運び屋の時間外労働時間が制限されることで移動可能距離が短くなり、長距離でブツが運べなくなる事態は裏稼業にも影を落としていた。
「なるほど。暗殺の時代でもなくなり職を失い困っていたんだ」
今、主に軽量の荷物は凄腕スナイパーの狙い撃ちによって玄関に届けられている。

(410字)


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前回のお題「生き写し」「バトル」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
スナイパー:狙い撃ち、狙撃手、暗殺、兵士、狩猟、遠距離、精密射撃、
意外な使い方:

アイディアの組み合わせ
殺し屋でなく運び屋の話:もう暗殺の時代は終わった。矢文で手紙を届ける。手紙じゃなくてもいいか。運び屋になる。2024年問題を絡める。

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