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【毎週ショートショートnote】「半笑いの」「ポッキーゲーム」

「犯人はあなたでは?」
探偵は彼女に告げた。
「そんなわけないわ。だってポッキーゲームをしようと言ったのも彼。ポッキーを出して私に咥えさせたのも彼。逆からポッキーを食べ始めたのも彼。ポッキーに毒が塗られていたのなら私が死んでいたかもしれないじゃない」
彼女は自信ありげに反論した。
「その通り。プリッツだったら怖くて咥えられなかったでしょう。しかし凶器はプリッツではなくポッキー。非対称です。チョコかビスケットか。あなたがチョコ好きと知る彼ならばビスケットを持ってあなたにチョコの方を笑顔で差し出したはず。だからビスケットに毒を仕込んだあなたは半笑いでチョコを咥えた。違いますか?」
「証拠は?」
「ありません。彼が十一月十一日だから自らポッキーゲームを始めたのか、あなたがキスをちらつかせて誘ったのか。そんなことはわかりません。わかっているのは……彼、浮気していませんでしたよ」
「え、じゃあ……」
探偵は彼女に一礼して去っていった。

(410字)


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前回のお題「金持ち」「教習所」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
半笑いの:やってる人が半笑い、みている人が半笑い
ポッキーゲーム:ポッキー、両端から食べる、キス、

アイディアの組み合わせ
ポッキーゲーム殺人事件の話:ポッキーゲームをしていたら彼が死んでしまう。トリックは古畑任三郎のパク……オマージュ。大丈夫とはいえ毒が含まれてはいるので半笑いになるはず。

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