店長は悩んでいた。みんなに楽しんでもらいたい一心で納得の味に仕上げたラーメン。

「なぜ客が来ないんだ」

「宣伝が足りないんじゃ？ 国立博物館の鳥獣戯画特別展なんて、一面使ってバーンと宣伝してますよ」
バイトが店に置いてある新聞紙を指し示す。
「鳥獣戯画か。ラーメン食べてこの兎や蛙みたいにワイワイしてほしいんだよな」
「海苔で鳥獣戯画を表現してみたらどうですか。流行ってますよ」
世では海苔に卵白でイラストを印刷する技術が様々なコラボで使われていた。
「それだ。明日さっそく試してみよう」

「おはようございます……って何やってるんですか」
「言われた通りに鳥獣戯画を」
そこには予想外の光景が広がっていた。薄く長く伸ばされた麺生地。そこに細くちぎられた海苔で鳥獣戯画が描かれていたのだ。しかも完成度が高い。
「思ってたのと違いますがSNSにアップしてみますか」

鳥獣戯画は見事にバズって大繁盛。店長は兎や蛙のようにノリノリでラーメンを仕込んだ。

（410字）

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前回のお題「告白」「水平線」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
鳥獣戯画：兎、蛙、漫画、楽しげ、絵巻物、日本史、
ノリ：ディスコ、フロア、海苔、糊、乗り、

アイディアの組み合わせ
ラーメン屋の海苔の話：ラーメン店が繁盛しないので宣伝を考える。鳥獣戯画をモチーフとした海苔が映えるのでは。海苔にプリントするタイプを想像していたら小麦粉に細い海苔で描かれていた。