同窓会が開かれた。
「ようサトシ。お前変わらないなぁ」
「まさかタケルか。全然気づかなかった」
二十年も経つと一目でわからない人もいる。特に化粧を覚えた女の人は難易度が高い。
「カナコに……ナミか！」
みんなの顔を見たらあの頃に戻ったようだ。振り返ると様々な記憶が蘇る。
「文化祭で神社作ったよね。担任が蛙みたいな顔しているからって、狛犬の代わりにフリ蛙とヨミ蛙を置いたりして」
懐かしい。そういえばあのとき優しくしてくれた物静かな女の子がいたっけ。当時は恥ずかしくて名前も呼べなかったけど今なら。
「今日アイリは来ていないのか？」
「え、誰それ」
突然の沈黙。おかしい。誰もアイリのことを覚えていないと言う。じゃあ彼女は一体。察しのいいタケルがそっと口を開いた。
「お前知らなかったかもしれないけど実は……」
告げられた衝撃の事実。アイリなんて同級生は存在していなかったのだ。
彼女の名前はフリ変える必要があった。
「愛理」と書くが、読みがエル。
（410字）

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前回のお題「サラダ」「バス」

次回のお題「ビール」「傘」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
ふりかえる：後ろを向く、振り替える、フリ、過去に遡る、
よみがえる：蘇る、生き返る、黄泉、読みがエル、よみ蛙、

アイディアの組み合わせ
実は読みがエルだった話：名前を勘違いしていた話。過去を振り返る流れで。同窓会。「ふりかえるとよみがえる」を複数入れるのも最後までテーマが絞り込めずに面白いかも。におわせホラーにできるかも。