ひとつの理想をかたるしす
おれは将来田舎に住みたいと思っている。なかでも海の見える街に。
大学を卒業し就職を終えた時、おれの目に映る世界はおそらくモノクロだ。大手に就職でもできれば多少彩は加わるのかもしれないが、どちらにせよ根本が怠惰なおれには汗水垂らして働くことは野生動物を檻に押し込むことと同じで、おれの本能がそれを拒む。最低限のタネ銭をかき集めたら、海の近くに家を買いたい。望む海は空の光を反射し小魚の鱗の様にチラチラと輝く蒼く大きい太平洋だ。住む家は少し高台に立っている改装されること無く年老いた