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何も写っていない写真に惹かれて

それまでソール・ライターの名前なんてちっとも知らなかったけれど、フライヤーの赤い傘とアスファルトに積もった雪に足跡のついた写真に見せられて、写真展を見に行ったのは3年前。それはファッションフォトグラファーとして活躍していた時代にも大きくフォーカスを当てた展示で、あれ、期待とはちょっと違ったかと少しの違和感もありつつ、でも惹かれる写真も多かった。

2年が経ち、またもや写真展があると知り、やっぱり気になって出かけた。今度のチラシのメインビジュアルは、またもや赤い傘越しの街角。今回は仕事を離れたプライベートな作品が多く、ああやっぱり好きだった、と納得。
ファッション写真家としての名声よりも、自分の作品世界に生きることを選んだというソール・ライター。何も写っていないようで、それなのに心の奥をぎゅっとつかまれて目を離せなくなるスナップショットの数々が、この世と誠実に向き合うことの大切さを教えてくれる。

展示を見た日はたまたま最終日。コロナのせいで翌日から休館になったのだ。間に合ったのは幸運だった。

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