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2024/3/12 2024年問題の簡単なまとめ

いわゆる「2024年問題」の超簡単なまとめをしてみました。



① 時間外労働の上限規制

(1)上限規制の適用猶予が除外される業種

⭕ 2024年4月1日より、猶予期間のあった業種に明確な上限が定められます。特に人手不足で、社会インフラを担う業種で準備期間が必要とされていた為、一般業種より5年間の猶予が与えられていました。

出典元 厚生労働省HP



(2)運送業(運転職)、医師は960時間


⭕ 物流、運送業は「2024年問題の核」として話題になっており、物が届かなくなる等、我々の生活基盤やリズムに影響を与える事となりそうです。その為、暫定的に年960時間と他業種より上限時間が多くなっており、いずれは720時間というのが道筋です。

⭕ 医師は地域医療の維持などの理由があれば最大で年1860時間まで残業が可能との事です。また、医師には自己研鑽の時間が欠かせず、それを労働時間として見做すかの議論もあります。

出典元 全日本トラック協会



(3)拘束時間、休息時間

⭕ 運送業において、拘束時間と休息時間の規程変更があります。また、始業時間を起点とする拘束時間の概念の導入により、時間の縛りはよりシビアなりました。

出典元 全日本トラック協会
出典元 厚生労働省 労働局



② 働き方改革推進

(1)電通過労自死事件

⭕ 働き方改革のきっかけとなった出来事の一つが、電通の新入社員の過労自死事件であるのは言うまでもない事でしょう。

 広告大手電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)が、長時間労働やパワハラに苦しんだ末、2015年12月15日に会社寮で自殺をしました。公式発表では月間残業が105時間と言われていますが、実態は1日20時間労働、時間外労働は月250時間は超えていたと思われます。

 2016年9月に長時間労働が原因の労災認定、検察は2017年7月、労働基準法違反罪で法人としての電通を略式起訴。東京簡裁が正式裁判を開き、刑事事件として判決が確定した。



(2)法令遵守、企業統制改革

⭕ 電通過労自死事件影響は社会的に大きく、企業は「法令遵守」や「ガバナンス改革」が急速に推し進めれれていきました。

 長時間労働、サービス残業、パワハラ、セクハラなど当たり前に横行していた風潮は淘汰されはじめ、企業の不正・不祥事、粉飾決算などが社会的信頼を大きく損ねる事が当たり前となり、経営リスクを未然に防ぐ為、企業統制(コーポレートガバナンス)が非常に重要な考えとなりました。

⭕ 国の権力者を好き勝手出来ないようにするのが「憲法」であり、コーポレートガバナンスは「企業の憲法」と言えます。

 企業の管理職は時間管理に追われる事となる為、取締役や管理職への企業統制が不十分であれば、現場は最終的に「不正」に染まる事となります。記憶に新しい「ダイハツ工業の不正」は納期を間に合わせる為に行われていたものでした。



③ 簡単なまとめ 


⭕ 建築工期が遅れる。建設業は大企業でさえ準備不足とされている為、適正工期の認識は発注者への理解をされなければなりません。また、時間外労働の上限規定が適用され、残業手当が減少する事による離職者が多くなるとの予測もあり、やはり前途多難と言えます。

⭕ 運送業の上限規定により、物流納品のリードタイムが長くなるのは覚悟しておかなければならない。世間は宅配便ばかり目が行くが、全ての物流のリードタイムが伸びる事を考えれば、生産から加工、販売までの日数がかかり、食品や日用雑貨など生活必需品に影響が出るのは必然と言えるでしょう。

⭕ 対策を大きな枠組みで言えば、高齢者、女性、若者の労働参加率の向上やAI技術、ロボットなどの自動化技術により生産性の向上が対策にあげられます。また、企業では発注者からの適正対価を収受し、設備投資や人員確保につとめる事が営業インフラを守る鍵となりそうです。


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