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2024/3/2 今週の米国経済指標まとめ

⭕ 今週は、アップルEV開発断念、AIに集中(2/28)、米国 1月 個人消費支出(PCE)(2/29)、NASDAQ総合、最高値更新(2/29)、2月 ISM製造業景況感指数(3/2)について簡単にまとめてみました。



① アップルEV開発断念、AIに集中


⭕ 待望のアップルカーは夢に終わった。需要の限界、供給過多、利幅への懸念(自動車は大量生産しないと利益が出せない)、世界的EV熱の冷え込みからの判断であると考えられます。

 既存スタッフは生成AIプロジェクトに集中する事になり、投資家にはこれがプラス材料、先見への安心感から当日、株価は0.81%上昇した。

🔅 最近のアップル社は、EUでの音楽配信を巡る競争法違反で約5億ユーロ(約820億円)の制裁金を科せられたり、期待のVision Proは一般ユーザー向けの評価がいまいちであったりと苦戦を強いられていますが、2023年のスマホ出荷台数でサムスンを抜いて堂々世界一位となっています。
 言うまでもありませんが、iPhone16にどのようなAI機能が盛りだくさんになるかが浮上の鍵となりそうです。

 アップルは2月27日、電気自動車(EV)を開発するという10年がかりの取り組みを断念すると社員に伝え、スタッフの一部をAI向けに配置転換した。
 アップルはまた、EV販売の陰りにも直面。高価格と充電インフラ不足により主流購買層の完全EVへの切り替えは進まず、ここ数カ月は販売の伸びが失速している。

  ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターはEV需要の低迷と製造の障害を受け、ハイブリッド車増産へと軸足を移しつつある。そして自動車メーカー各社はバッテリー式EV(BEV)の値下げや生産台数目標の引き下げ、利益予想の下方修正を余儀なくされている。

  米国におけるEV革命の草分けであるテスラでさえも、今年の販売台数の伸びは「著しく」鈍化するとの見通しを示している。UBSグループによると、今年の米国内EV販売台数の伸び率は11%と、昨年の47%(推定値)を大幅に下回る見通しだ。

出典元 Bloomberg 2024/2/28




② 1月 個人消費支出 PCE 2/29


⭕ 結果は予想通りとなり、米国株式市場はインフレ再燃への懸念が和らぎ、買い注文が増えました。
 上振れの予想もありましたが、自動車の購入など高価な財への支出が大きく減少した事が寄与しており、FRBによる持続的な金融引締めによる借入コストの上昇が狙い通り効いてきたと考えられます。

✅ PCEデフレーター 
●(前年同月比)結果 +2.6% (予想 +2.6% 先月 +2.6%)
●(指数先月比)結果 +0.3% 

 コアPCEデフレーター(食品とエネ除く)
●(前年同月比)結果 +2.8% (予想 +2.8% 先月 +2.9%)
●(指数先月比)結果 +0.4%


出典元 TRADING ECONOMICS

 米国PCEデフレーターは、個人消費支出(PCE)の価格変動を測る指標で、米国のインフレ率を判断するためにFRBが重視しています。

 
PCE(Personal Consumption Expenditures)は個人が物やサービスに対してどれだけお金を支出したかを示す指標で、GDPの約55%以上の割合を占める重要な経済統計です。
 
 数値は名目個人消費支出を実質個人消費支出で割って算出されます。その数値の変化率がプラスであればインフレを示し、マイナスであればデフレを示します。CPIと比べて調査対象が広く、指数の計算方法も異なります



③ NASDAQ総合、最高値更新 2/29


⭕ エヌビィデア主催の半導体祭りを経て、2/29の終値でついにNASDAQ総合が【16,091.92】をつけ、2021/11/19につけた【16057.44】を上回り最高値を更新した。

🔅 同日、S&P500指数も【5096.27】と最高値を更新、さらに株価が下落しやすいアノマリーのある2月を、主要3指数ともプラスで終えた事で、今年はさらなる飛躍を感じさせる期待を抱かせてくれた。

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 29日の米株式相場でナスダック総合指数(.IXIC), opens new tabが2年超ぶりに終値での最高値を更新した。半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabなど大型テック株をはじめ、人工知能(AI)への期待が株高を後押ししている。
この日の終値は1万6091.92と、2021年11月19日に付けた1万6057.44を上回った。
チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「AIブームへの期待が割高水準でも関連銘柄を押し上げている」とし、1年前の想像を超える最も高パフォーマンスの銘柄になっていると述べた。
その上で「この状況が続くためには、革命としてのAIという考えから脱し、AIに直接起因する収益の伸びを見る必要がある」とした。
ナスダックは21年11月の史上最高値を30%超下回る安値を22年12月に付けた後、現在の上昇局面が始まった。終値での最高値更新は米主要株価3指数の中で最後となった。

出典元 REURERS 2024/3/1



④ 2月 ISM製造業景況感指数 3/2


✅ 結果 47.8 前回 49.1 先月比 ▲1.3

⭕ 総合は47.8と予想(49.5)を大きく下回る。2月は需要の低下から新規受注、生産、雇用が縮小している。1月が好調過ぎた半面、2月は冷却期間といえる結果となった。しかし、回答者の声では先行きは明るい。仕入れ価格の低下はFRBの判断材料としても安定した結果となった。

● 新規受注 49.2 (▲3.3p)
● 生産 48.4 (▲2.0p)
● 雇用 45.9 (▲1.2p)
● 価格 52.5(▲0.4p)

回答者の声
● 現在、我々のビジネスでは売上が伸びている。納期は2024年第2四半期が多い [化学製品]
● 第1四半期は顧客からの注文の変更もあり低調だが、2024年の残りは好調に推移すると予想している。成長予測を引き上げる可能性もある。 [輸送用機器]
● 「典型的な第 1 四半期の数量は第 4 四半期の高水準から落ち込む。追加の物流により、一貫した生産シフトを維持できている。 [食品・飲料・タバコ製品】 ]
● 「中国、日本、欧州で顧客の軟調が続いている。[コンピュータ&エレクトロニクス製品]

出典元 ISMレポート 2024/3/2

⑤ 重要経済指標のおさらい

作成 ぼなんざ本舗研究所
作成 ぼなんざ本舗研究所

⑥ 政策金利予想  3/2


✅ 2024/3/20、連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利決定に於いて、市場参加者の意見は「金利据え置きが96.0%」【5.25-5.50】

✅ 利下げ観測
★ 2024/3/20 「4.0%」
★ 2024/5/1 「18.6%」
★ 2024/6/12 「63.3%」

出典元 CME FedWatch Tool

⑦ まとめ


⭕ 利下げまではAIブームに乗り遅れないように、恩恵を受ける銘柄を仕込んで置きたい。

⭕ NASDAQ総合もついに最高値更新となりました。主要3指数とも弱いとされる2月をプラスで終えました。市場参加者は今年一年間の期待感は高いと感じている事でしょう。

⭕ 現状での利下げ時期は6/12の会合以降がやや濃厚。2/29発表の個人消費支出(PCE)の結果は予想通りとなり、波乱なしの安心感から買いが優勢。3/1も続伸となった。

✅ 原油(WTI)1バレル=79.81ドル
 OPECプラスの産油国が自主減産を延長するとの観測が広がり上昇。イランによる紅海の商船拿捕などは産油国が裏で手を回しているのではと勘繰りたくなります。


🔅 今週の債券利回り、為替、原油(前週比)3/2現在

★ 米国10年債利回り 4.186%(2/24 4.248%)⤵
★ 日本10年債利回り 0.710%(2/24 0.711%)⤵
★ 1ドル=150.117(2/24 150.523円)⤵
★ 原油(WTI)1バレル=79.81ドル(2/24 76.57ドル)⤴


🔅 今週の米国株主要3指数、日経平均 3/2現在

★ 
NYDOW 39,087 ▲0.11%(先週比)+1.12%(先月比)
★ S&P500 5,137 +0.95%(先週比)+3.60%(先月比)
★ NASDAQ 16,274 +1.74%(先週比)+4.13%(先月比)
★ 日経平均 39,940 +2.15%(先週比)+10.46%(先月比)

🔅 来週の経済指標

3/6 ISM非製造業景況感指数 
3/7 ECB 政策金利
3/8 米国 雇用統計


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