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騙し、騙され -その7 タイ・自称ドバイ人編-

前回までのあらすじ
貴族階級が幅を利かせる18世紀フランスで革命を起こすため奮闘するジョセフィーヌとモンパルナス。時代に翻弄されながらも、仲間たちと共に命を懸けて自由のために闘う二人。その前に現れた悪の枢機卿。彼らの目的とは。


-自称ドバイ人編-


これは、タイで何度も遭遇しているのでガチで多い詐欺案件。
ちなみに、数か月前にも遭遇したのがこの連続するnoteを書くきっかけになったものだ。

2020年8月現在、コロナの影響で見る影もないがタイは観光立国だ。
最近ではこちらに居住している人以外はほぼタイを後にしているので外国人の数はかなり少なくなった。
本来であれば、バンコクには多くの観光客が流れ込んでくるので街を歩けば様々な人種に遭遇する。
最も多く目にするのは中華系の人たちだが、何世代も前にタイに移民として移動してきた中華系の人たちも多く、タイ語しか喋れない見た目中国人なタイ人も多数存在しているためすべてが観光客かというとそうでもない。
他にも白人、黒人、インド系、中東からの人も多く目にする。
今回カギになるのはこの中東系の人だ。


ある時、日本へ一時帰国するため、友人や知り合いへのお土産を買いに都心の大きなデパートに来た。
この店は単価が安いものもあり、配り用お土産の定番として有名な店だ。
とにかく店の中は人が多く「密」である。
主に女性が喜ぶ系のお土産なので妻に任せ私は入り口の外で待つ事にした。
デパートの中なので、入り口の外といっても涼しい。
出入りする人たちや、子供が2人くらい入っているのではないかというくらいの大きな袋いっぱいにお土産を買う人などを眺める。

ちなみに、私は人間ウォッチングが好きだ。
あふれるほどの人ごみの中から数人ターゲットを絞ってアテレコをしながら時間をつぶす。
笑顔で仲良く商品を選んでいる中国人女性二人。

「あら、これかわいいわね!」

「えー、そんなクソみたいな物選ぶとか、あんた酷いセンスね」

「ほら、これあんたのクソダサファッションにピッタリだわよ」

「あなたの耳から垂れてるめかぶ素敵ね。あら、それイヤリングなの?」

「朝、ヘドロ食べてきたの?息がヘドロ臭いわよ」

二人とも笑顔でキャッキャとこんな会話をしている、事を想像する。
そんなことをしながら一人ニヤニヤしていると、横にいた男性に話しかけられる。

「日本人ですか」

いつからいたのだろうか、小ぎれいな服装に高そうなサングラスをした男性だ。
聞き取りやすい英語で話しかけられた。

「はい」

「私はドバイから来ました。ハネムーンです。妻はこの店の中にいます」

ドバイでもこの店有名なのかぁ。

「このお店、混んでいますね」

「ところで、私たちはタイの後、中国に行き、その後日本に行く予定なんだ」

「日本にも。どこに行くの?」

「大阪、東京、北海道だよ。君は日本のどこから来たの?」

「東京だよ」

「あっ、そういえば今日本のお金持ってる?まだ見たことないんだよね」

ピーン!
話の流れをぶった切るかのように突然出てくるマネーの話題。
これお金見せたらあかんやつや!
まぁ、そもそもタイで生活しているわけで、普段日本のお金なんか持ち歩いているわけがない。

「私は、タイで働いていて、こっちに住んでいるからタイのお金しか持ってないよ」

「そうなのか。じゃぁタイのお金でもいいや。見せて」

なんでや?
お前ら買い物してるんだからタイのお金持ってるやろ。
もう完全に怪しいやつやん。

「財布は妻が持っているから私は何も持っていないよ」

「そうなのか。残念だ。また会おう」

去り際はさわやかだった。
実は詐欺ではなかったんじゃないかと思うくらいに。
いや、でもどう思い返しても詐欺以外には思い当たらない。

これは、観光客を装った詐欺師が、日本のお金を見せてほしい→お金を交換(両替)してほしい→偽札か価値の見合わない通貨と交換というパターン。
しかも、ドバイから来たとかちょっと小金持ち風を装って相手を油断させてくるやつ。


まとめ
フレンドリーな外国人には気を付けよう
そして、いつでも財布は持っていないと答えるほうが吉だよ!

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