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『いのちのふしぎを尊敬している本を。』

 ナワ・プラサード店主 高橋ゆりこさんインタビュー(2022.6.6)


-お店はどのように始まったのでしょうか。
高橋 1976年頃、もともとここは編集室でした。編集の仕事の参考に、と集めていた本を販売する形で始まりました。私は今2代目ですが、1代目は18年間仕事をし、私がその後を引き継いで気づけばもう28年目になります。
開店当初に流行っていたヒッピーブーム。その頃から店には自然志向の人が多く足を運んでくれています。サブカルチャー系の本屋と称されることもしばしばありますが、特に先代がやっていた頃は、「反原発」運動に関する本もズラリ並べていて、正確には「カウンターカルチャー」の店だったと思います。いまや「カウンターカルチャー」という言葉も使われなくなってしまいましたが…。
 

気になる本を手に取りやすい本棚


-建物も特徴的ですね。
高橋 この建物のオーナーが当時「文化ビル」にしたくて作ったそうですが、時代が早すぎて流行らなかったようです。その後、若い人が1Fで八百屋を、2階で食堂を、3階で本屋と学校を始めたいという声が出るようになり、全館を貸し出すことにしたと聞いています。建物に歴史が感じられ、私も気に入っています。

本屋のある3Fまで階段をあがるのも楽しい

-どのような本が並んでいますか。
高橋 お客さんからはよく「精神、身体、自然などの本を揃える本屋」といわれることがありますが、私は「いのちのふしぎを尊敬している本」を置きたいと思っています。
自然を求めて地方で暮らす人も増えている時代だけど、東京に残っている人が抱えるしんどさのことが、気になっています。家賃も、物価も高いうえ、人を無視するほかない生き方を迫られる。せめて、私たちのような庶民が元気でないと、文化が廃れてしまう。ここはそうした人たちが元気になる本を置いています。


いのちのふしぎを尊敬している本たち

-最後に、このまちやお店のこれからについて感じていることを教えてください。
高橋 西荻窪はチェーン店が少ない珍しい街。一つ言うなら、「個人商店を大事にする政治をして欲しい」ということでしょうか。個人商店が元気なら、まちを訪れる人が増え、大きい商店にも足を運ぶ人が増え、相互乗り入れのような良さが生まれると思います。
それと、芸術家とともに生きることも大切だと思います。昔から芸術家にはお金持ちもいたけれど、私はお金がなくても、皆で歌ったり踊ったりするカルチャーがゆるされる社会こそ、健全だと思います。そこからすごい人が出てくる。それを社会が認めていく。そんな社会であったらいい。皆が皆、芸術家にはなれなくても、芸術家を支えることで一緒に愉しむことはできる。その意味で人はみな等しく、互いが互いの財産であると思っています。
人々の生活に有効で、生きていく糧になり、死後も含めて、“しあわせになる”ことを扱う本を、これからも置き続けたいと思っています。

芸術家 赤瀬川原平さんの本も並ぶ

お店情報:ナワ・プラサード(NAWA PRASAD)
167-0053東京都杉並区西荻南3-15-3  TEL 03-3332-1187
OPEN 12:00~20:30 定休日なし
http://www.nabra.co.jp/hobbit/nawaprasad/


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