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『plan75』の話:映画のはなし#1

僕の興味関心の範囲はもっぱら読書中心ではありますが、ここ数年で映画にも素人ながら手を出すようになりました。ほとんどがDVDやU-NEXTでおうち映画を楽しんでいますが、先日数年ぶりに映画館で鑑賞したので、その記録と記憶を書いておきます。

初めてのアップリンク吉祥寺

先日、初めてアップリンク吉祥寺で映画鑑賞をしました。縁あって吉祥寺にはしばしば行く機会がありますが、アップリンクやオデヲン、吉祥寺プラザなど、気になってはいましたが一年以上未訪問のままでした。(コロナ禍になって以来、映画館で観るということが無かったので、実に3年近くぶりとなりました。)

タイトルにもあるように、『plan75』を鑑賞です。パンフレットや予告編を見て気になっていたので、えいやっと9:30スタートの回を予約し、通勤中の皆様とともに満員電車に揺られながら吉祥寺へ向かいました。

PARCOの地下2階にあるため、開店前のPARCO裏口からエレベーターに乗っての入場です。映画館独特の静けさとポップコーンの匂いには、ワクワクを高める作用があるという研究結果があっても良いと思います。

こんな未来がくるのかという物語

この『plan75』は高齢化が進んだ日本を舞台に、75歳以上の方が自ら死を選ぶことの出来る権利を有する制度通称「plan75」が制定された社会を描いています。

冒頭では老人ホームと思われる施設内で入居者を殺害した犯人の独白のシーンからスタート。静けさと影の影響もあってか、これは油断してはいけないぞという気持ちにさせられます。

場面が変わり、倍賞千恵子さんをはじめとする後期高齢者の方々の生活、「plan75」の運営を行う自治体職員、「plan75」に参加した高齢者の方が最期を迎える施設で働く外国人労働者のそれぞれの視点で物語は進みます。

細かな内容については書きませんが、高齢化が問題視され続けている日本にとって、この映画で描かれていることは一瞬、「本当にこのような未来が来るのではないか」と感じさせます。が、見ていた中で現実にはなり得ないだろうと考える部分もあったので、それについて書いてみます。

よく考えれば、それもそのはず。この世界で描かれている「plan75」という制度、国によって採択されたもの。もし現実にこのような制度が設けられるとしても、国によって制定され管理されるものとなるでしょう。ただ、民主主義の国家では(死刑制度すら未導入の日本ではなおさら)、人の命を奪う制度が制定されることはないだろうなあ、と感じました。
日本人の国民性を考えてみても、心の内では「経済的にはその方がいいかも」と考える人がいても、それを大きく主張したり賛同することには反対意識を持つ人のほうが圧倒的多数になるように思います。

そんなように考えながら観ていたからこそ、フィクションとして考えながら楽しむことができたのがこの作品なのではないでしょうか。

やっぱり映画館はいい

最期に、久しぶりに映画館で鑑賞をした感想を少し。

音響はもちろんですが、大きなスクリーンだからこそ、迫力のあるシーンはより迫力を感じ、緊迫したシーンはより緊迫感を感じることができると再確認しました。
近頃はスマホや家のテレビでの鑑賞が多かっただけに、映画を観る環境も強く意識しました。

コロナ禍ということもあり、出不精に拍車がかかっていましたが、隙を見てスクリーンの迫力を浴びに行くのも悪くは無いなと再認識しました。

あと、何度聞いても倍賞千恵子さんの声はとても素敵です。劇中でそこに触れられているのも、なんだか嬉しい気持ちになりました。

コペル

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