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■前回のお話はこちら■本編 書店員の朝は早い。十時の開店に備えて、それまでにある程度の新…
■前回のお話はこちら■本編 私は再び老人の家の戸口に立っていた。 相変わらずその住まい…
智臣は走っていた。 真夏のアスファルトの上を、息を切らし、頬を伝って流れる汗を拭いな…
男は後ろをやけに気にしながら歩き、ある小路の入り口に立つと、殊更に警戒心を剝き出しにし…
■前回のお話はこちら■本編 精霊の森のさらに奥にある霊峰、ストラ山。山の民の初代酋長の名…
病室の窓から外を眺める。青空に無数の魚影のような雲が泳いでいる。 午後のロードショー…
世界には空に穴の空く場所があって、その穴の中には空色をしたダイヤモンドが眠っている。 だからおれはそのダイヤを掘りに行かねばならない。 あなたはそう言ってこの街を出ていった。もう十年前のことになる。 十年前というと、わたしはまだ女子高生で、あなたの話す夢のようなホラ話を無邪気に笑って聞いていられる年頃だった。 百匹のテントウムシがスズメバチを撃退する話とか、示したところを掘ると必ず財宝が出てくる、賢い犬の話とか、人の影を食べて生きる恐ろしい怪人の話とか。どれもこれも
波打ち際に貝殻が転がっていた。押し寄せては引く波に弄ばれ、ころころ、ころころと転がった…
顧問の黒田しづねが文芸部の部室を覗き込むと、鷺橋美織だけがいて、彼女は机や椅子を雑巾で…
その家を選んだのはほんの偶然だった。 私はけちな空き巣だ。かといって、元々盗みで生計…
■前回までのお話はこちら■本編「椿、着替え終わったか」 ノックもせずに扉が開けられ、そ…
■前回までのお話はこちら■本編 そのホールは古びていた。あちこちの壁に雨だれが見られたし…
■前回のお話はこちら■本編 牧場の中は寂れていた。日曜日の、しかもこんなにも天気のいい昼…
■前編はこちらから■後編 母が死んだとき、世界はまだ混沌に包まれてはいなかった。 葬儀は大人が取り仕切っていたから、グレンはほとんど覚えていない。覚えているのは、ただ泣きじゃくって母の棺にとりついていたことと、もしかしたら父が来てくれるかもしれないという期待だけだった。 グレンが物心ついたとき、既に父は家にいなかった。母からは父は偉い身分なので忙しいのだとずっと聞かされていた。でも、どれだけ忙しかろうとも、母の葬儀に顔を出さないはずはない、とグレンは信じていて、それを周り