マガジンのカバー画像

午郎’s BAR

8
マーケティング部の近藤午郎が、出版業界の様々な話題を皆さんに向けて発信します。本の紹介ではなく、出版に関わること、書店に関わることを分かりやすく、午郎らしく、発信します。
運営しているクリエイター

記事一覧

午郎’S BAR 10杯目「書店をテーマにした本」

私も職業柄出版関係の書籍を大量に読んできた。このジャンルの本はやはり書店や出版社の従業員をターゲットにしている本が多く、意外と専門的なものが多い。しかし、その一方で書店員や書店経営者が書いた本も多く存在し、その殆どが「出版業界以外の方々に読んで欲しい」と思って作られたもの、のように思える。 書店という小売りの裏側、店主や経営者の思い、などを1冊の本にまとめて、本を介して読者にアプローチする、書店に関わるものとして至極まっとうな媒体選択に思える。 今回は「書店」に関する本につい

新刊本はどのようにして書店に配られるのか?(午郎’S BAR 7杯目)

『踏み出す一歩』発売 10月13日にブックダム出版事業第1弾『踏み出す一歩 そして僕は夢を追いかけた』が発売されます。著者は現在米大リーグ、テキサス・レンジャーズ投手育成コーチ倉野信次さん。 倉野さんが、日本プロ野球福岡ソフトバンクホークスの投手コーチを辞めて、単身大リーグの投手コーチになるために渡米し、1年後正式に契約するところまでのチャレンジをまとめたものになります。 是非皆さんにもお読みいただきたいのですが、今回は踏み出す一歩の宣伝ではなく、こうした新刊書籍はどのよう

新しい取り組みの背景と狙い    (午郎’S Bar 6杯目)

プレスリリースに出版界衝撃走る6月23日、出版業界に激震が走った。 「紀伊國屋書店×カルチュア・コンビニエンス・クラブ×日本出版販売 書店主導の出版流通改革及び その実現を支える合弁会社設立に向けて協議を開始」 https://corp.kinokuniya.co.jp/press-20230623/ 紀伊國屋とCCCが手を組む。この構図にびっくりした。書店業界での売上1位と2位のチェーンが手を組む。一体何のために?というのがリリースを見た多くの関係者の感想だろう。 リリー

「本の価値と値段」午郎’S BAR5杯目

村上春樹の新刊先月村上春樹の6年ぶりの長編小説「街とその不確かな壁」が発売され、いつもの如くテレビなどのニュースとなった。 以前よりあまり売れていないとか、電子書籍に主戦場が移ったとか、そうした報道がある中、私の関係者2名からこうした話を聞いた。 ・いくら村上春樹とは言え、文芸の単行本で3,000円近くするのは高い。どうして最初はハードカバーになるのだろう?2,000円前後に落ちるなら文庫で良いのに ・村上春樹のような著者が率先して単価を上げてくれると業界にとっては良いことな

無書店自治体増加報道を考える            (午郎’S BAR 4杯目)

JPICの調査昨年12月にJPIC(出版文化産業振興財団)が調査した書店ゼロ自治体(無書店自治体)の割合等の数値が、最近また朝日新聞の記事に取り上げられたことでネット上を賑わしている。私も個人noteでこの課題を取り上げたことがあるが、記事を読んでいると感情的、且つ抒情的なものが多い。ここは一旦冷静になって無書店自治体ができる要因と、このテーマについて考えるべきポイントをまとめてみよう。 そもそもこのJPICの調査における無書店自治体とはその行政地域内に「大手取次(日販・ト

午郎’S BAR 3杯目 丸善のBC

間違いなんだけど・・・先日私の知り合いから丸善のブックカバーの所在地に今でも店舗があるのか?との質問が来ました。奥さんが店員さんに「この所在地に店があります」と言われたそうです。 最近ネットで本を買うことも増えたが、何冊かは我が家に丸善のブックカバーの付いた本があったので、デザインを見返してみた。あぁ、そうだった。このブックカバー、世間にあまり知られていない落とし穴があったんだっけ、と言うことを思い出したので、ちょっと丸善のブックカバーについて書いてみます。 結果的に集まっ

午郎's BAR 2杯目 書店の収益源のお話。

報道ではどんな事業をしていても「書店」で一括り日本にはだいたい11,000軒くらい書店があります。以前はアルメディアと言う会社が定期的に本にそれをまとめていましたが、2013年版以降それは発売されていません。 毎年幾つもの書店が閉店していることは皆さんもご存知ですが、書店というビジネスは小売りの中でも最低レベルの粗利の中で、場所代と人件費という2大コストと闘っています。 たまに新聞やネットの記事でチェーン書店の収支に関するものを目にしますが、これらの記事はたいてい結構乱暴

午郎’s BAR 最初の1杯 「午郎’s BAR へようこそ」

本日より、ブックダムの現段階での最年長者であり、お酒が大好きな私、 事業推進部の近藤午郎が、「午郎's BAR」という名で、出版や書店に纏わるいろいろなお話を書かせていただきます。 まずは自己紹介。 近藤午郎 56歳 長野県出身  昭和41年、いわゆる「丙午」の年に生まれたので、「午郎」と言う名が付きました。 北海道の某教育大学を卒業して新卒で入った会社が〇善の書籍外売部門。 〇善で20年間民間の研究機関を中心に営業担当をし、そののち12年ほど企画や親会社との協業を担当して