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読者の未来をめくる日々 vol.11

9月11日。
この日を迎えると2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件を思い出す人も多いのではないでしょうか。
12年前のあのとき。ビルが崩落していく模様がリアルタイムで流れるテレビの前で、父と一緒に釘づけになっていました。でも正直、何が起こっているのか、それがどのような意味を持つのか、理解できていなかったと思います。

あれから12年。歳を重ね、それなりに経験を重ねてきたことで、当時より年々と事の重大さが認識できていくような感覚があります。
とはいえ、それは無責任な「想像」に過ぎません。

この12年もの間。
歴史に残らない、ニュースにさえならない、心を痛める出来事が世界中でどれほどの人にあったのでしょうか。
一つひとつ反応していたら、心がいくつあっても、時間がどれだけあっても足りないでしょう。反応しなくても済むように、人間うまくできているとも捉えられます。

だから、せめて、他者のやり場のない哀しみや苦しみを想像する時間が生活時間から失われぬうようにと、よく「お前の視界に映る世界がすべてじゃねえぞ」と自分にツッコミを入れています。
それはあくまで自分自身の課題なので、誰に責任を負うというものではありません。他者の痛みに敏感であれることが、誰かの力になりたいというエネルギーの源泉であるような気がして。

今この瞬間も世界のいたるところで、涙を流している人がたくさんいるはずで。私も時々そちら側の人であり。主観と客観を行き来しながら、自分を信じていられるようにバランスとってる生き物なんでしょう。

99%の読者がまだ見ぬ人たちである以上、その想像力を失うことなく、今を生きていたい。そう考えていた2023年の9月11日でした。