見出し画像

認知症の人との会話って、「孫の手」なんです

怒りっぽい認知症の男性でも、少し機嫌のいいタイミングで現役時代の仕事の話を尋ねると、活き活きと話されることが多い。
女性も同様で、その人が大切にしてきたこと、頑張ってきたことについて話してもらうと、笑顔が増える。

認知症の人が、誇らしげに、楽しそうに、過去を語る姿は、こちらに緩やかな陽性転移を引き起こす。こうして得た親しみの感情は相手に伝わり、互いに緩やかに陽性転移しあう関係となる。
これが長期的に治療・看護・介護の一助になる。

何回も同じ話をしてもらって良い。
認知症の人から「何回も同じことを聞くな!」と怒られることはまずない。
彼らは聞かれたことや語ったことは覚えていなくても、「聞き手が関心をもって耳を傾けてくれた」という嬉しさや親しみといった感情は残る。

認知症の人との会話は、情報収集としての役割と同時に、「孫の手」のようなところがある。
背中の同じところを掻かれても、今日も明日も明後日も、やっぱり気持ちいいものなのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?