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今、あなたに届く言葉で。


本題に入る前に…

98歳のおじいちゃんが、
「腕相撲せんね?」って言うから、

良い勝負にしないとね。
なんて、余裕ぶっこいてたら、

検索ワード(tomo802)

腕が捩じ曲がるかと思うくらい強くて、
3秒も持ちませんでした。


ごめんなさい。



今日、ちょっと憂鬱だった。
3年ぶりにようやく面会できるようになった認知症の祖母に会いに行く日だったから。

「〇〇だよ。おばあちゃんの孫ですよ」

「……」

アルバムを見せながら、

「〇〇に行ったよね。おばあちゃん、分かる?」

「これは、おじいちゃんよ」 

「……」

検索ワード(tomo803)


能面のような、虚な顔。
反応、ナシ。


すると、アルバムを指でなぞり始める。

写真に反応してるのかな?と見ていたら、
しきりに写真の縁のデコボコした部分を触っている。

「ボコボコするね。」

「うん」

そのままの事を言ってみたら、すんなりと声が返ってきた。

続いて、アルバムの透明のシートをペリペリ剥がし始める。

検索ワード(tomo804)

👆おじいちゃんが、剥がしてあげようとすると、フン!と怒っていた

「ペリペリするね。剥がしていいよ」

「うん」

夢中でペリペリしている祖母。

検索ワード(tomo805)

「楽しいね」

「うん」

小さな少女に戻っているように見える。

検索ワード(tomo806)


だから、子ども扱いというよりも、今のおばあちゃんに届く言葉を選んで話しかける。



ただ、ひとつだけ、

「ありがとう」
と言ったときだけ、

「どういたしまして」

と、返って来たので、おばあちゃんの中で反応できる言葉なんだな、と嬉しくなった。


ギュッと手を握って、「またね」と言うと、ギュッと手に力が入る。


離したくないなと思う。


おじいちゃんが、「山にまた登ろうね」と言っていた。

検索ワード(tomo807)

きっといつか、
二人で登るんだと思う。



その約束に
ちょっと泣きそうになった。



今日のことは、私が覚えとくね。

大好きな人に、
忘れられる事が、
怖かったけど、

無邪気で小さな女の子に戻って
身軽になっていっているんだとしたら。

いつか、
そう遠くない日の

さよならの準備が
少しだけ、怖くなくなった。


今はまだ、
届けられる言葉がある。


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