そこに棲むモノ 営繕かるかや怪異譚 小野不由美
文庫で2冊、単行本で3冊目が出ているシリーズもの。
ホラーの名手、小野不由美氏の家や物にまつわる怪異を描いた短編集のシリーズなのだが、ホラーが苦手な人でも読みやすいタイプの作品だ。
どこかはわからない、うらぶれた気配の漂う城下町を舞台に、そこに現れる怪異を描く。
このシリーズの特徴は、その怪異の原因も根本的な解決もないところだ。
しっとりとした湿り気のある雰囲気のなか、ひたひたと怪異が忍び寄ってくる。大きな害をなされるわけではないが、気味が悪いし落ち着かない気分にさせる。
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