『喫茶おじさん』| 読むと純喫茶に行きたくなる本
久しぶりに小説を読んだなぁ。
今回読んだのは、『喫茶おじさん』(原田ひ香、小学館)。
タイトルもユルいし、表紙もユルい。
のんびりと本を読みたい人にオススメの一冊です。
本を読んだ感想をちょこっと書いてみます。
純喫茶に行きたくなる
この本はスイーツ版「孤独のグルメ」とも言えるし、「吉田類の酒場放浪記」とも言えるような一冊です。
主人公のノンビリおじさんは、日々の生活でちょっと疲れた場面に出くわすと、すぐに純喫茶に行き、甘いものとコーヒーを満喫しまくっています。
それが何とも、美味しそうで、おいしそうで。
孤独のグルメっぽいでしょ?
私の住む町にも純喫茶がありますが、この週末は、この本の主人公のような軽いノリで行ってみたくなりました。
誰しも人には言えない悩みがある
ただ、この本は「ひたすら甘いもの食べておしまい」という内容ではありません。
主人公のおじさんは、あらゆる場面でいろんな人から「あなたは何もわかってない」と言われ続けるという、不運な感じの人なんですよ。
言われた直後、おじさんは一瞬悩みます。
でも、「孤独のグルメ」と同じパターンで、困った状況になると、必ず純喫茶に行く(笑)
あまりにもあらゆる人から「あなたは何もわかってない」と言われ続けて可哀そうにもなりますが、誰しも人には言えない悩みがあり、それは他人からは分かりづらいもんですよね。
そう言っちゃおしまいかもしれませんが、どうしようもないときに、このおじさんの場合は「純喫茶」でしたが、何か「逃げ込み先」を持っておくと強いな、と感じました。
「時間が解決する」ということも、多いですしね。
おわりに
久しぶりに小説を読みましたが、食べているシーンを美味しそうに書く作家さんは、ホント多いですね。
というか、作家というのはそういう才能があるからこそ、作家なのかも。
TVの食レポで「やばい」「おいしい」としか言えない人を見ては、「もっとまともなコト、言えないもんかね」などと悪態をついている人は多いと思います(私のこと)。
でも、実際「美味しさを表現しろ」と言われたら、結局私も「やばい」「おいしい」くらいしか言えないんでしょうね…。
サラっとした文体で美味しさを120%伝える、作家の表現力のすごさを改めて感じた一冊でした。
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