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No.1 「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」

こんにちは。

ようこそお越しくださいました。

本日はどんな本をお探しでしょうか?

なるほど

「とにかく読みやすくて面白い本」ですか。

たくさんございますが、、

では、こちらなどはいかがでしょうか?


ジャンル:評論・社会学

よろしければ、私が読んだ感想などを簡単にお話しさせていただきます。

もし、興味を持たれましたら手に取ってみてはいかがでしょう。
→Amazonのページはこちらからです。


なお、本を要約するわけではありませんので、

その点はご了承くださいませ。


それでは、あちらのテーブルで

コーヒーでも飲みながらお話ししましょうか。


この本をお勧めしたい人


・高校生以上の年齢層であれば、楽しく読むことができるかと思います。

・強いていうならば、

特に

現役の大学生と、社会人の方

共感しながら読み進めることができるはずです。

・軽快な口調で、ユーモアを交えて書いてくれているため、

本を読むのがあまり得意ではない人や、

これから本を読もうと思うけれど、

何を読んでいいか分からない

という人にはお勧めです。


なぜこの本を買ったか


「何かの役に立つから」というよりは、興味本位でした。


Kindleで試し読みができたので読んでみたのですが。。

冒頭でしっかり心を掴まれてしまいましたね。


「現在の大学生と過去の大学生は座る座席の位置が違う」


というネタではじまるのですが。。

なんだそんなことかと思いました?


いいえ。

そんなことだからワクワクするのですよ。


そこに現代の大学生、ひいては若者が持っている価値観が透けて見える


という本書の展開を予期するからこそ

そうした些細なきっかけが起爆剤として機能するのです。

私はこうした心理を分析するタイプの本が好きなので、

ついつい買ってしまい、一気に読み終えました。


読む前に考えていたこと


こうしたいわゆる「若者論」は、

少し”こじつけ”的な部分があることが多い(気がする)ので、

どの程度現実的な分析なのか

興味がありました。

読んでみて感じたこと


1、とにかく面白いです。


読んでいて得られる感情は、

なるほど/笑える/感動/役に立つ

などがありました。


「若者論」にありがちな、

「最近の若者は〜」論調ではなく、

若者に寄り添いつつも、

だからと言って

このままでは良くない点は指摘しつつという

筆者の人間性が垣間見える一冊でした。


2、首尾一貫した考察の軸


筆者は最近の若者の特徴を総称して

「いい人症候群」

と名付けています。

具体的には、

・自分で決めることが苦手

・他人がどう思うかを必要以上に気にする

・目立つことをひどく嫌う

・指示されたことはきちんとやる

・大きな野望はなく、安定志向

などなどを挙げているのですが、


就職活動、大学の授業、友達付き合い

大学入試、将来に対するビジョン

などの様々な観点で

その傾向が見られることを的確に指摘しています。


個別のシーンで見られる別々の行動から

根底にある行動原理をあぶり出す


一見すると、それぞれのシーンでの行動が

一貫していないように思えても、

「いい人症候群」の原則を適用すると

見事に説明できる。


これをやっている本は、

個人的に読んでいて面白いと思います。

本書もまさにそうです。


3、エビデンス(根拠)ベース


おそらくこの本は

評論のジャンルに入ると思うのですが、

しっかりとグラフやアンケート調査などの

データを元にして筆者の考察が行われています。


筆者である金間大介氏は大学の先生で

モチベーションについての研究をされている方だそうです。


こうしたアカデミックベースの問題意識や分析をしつつも、

筆者のもつユーモアがその”アカデミックさ”を感じさせない

ライトな読み応えに仕上がっていると感じました。


だからと言ってエッセイのような感情論、感覚論ではなく、

納得できる根拠が示されて論が展開していきます。


また、

・アンケート結果をどのように読み取るか

・調査方法の限界
(調査時期によって、また、誰が調査するかなどによっても結果が微妙に変わってくること。)や

母数をしっかりと確認することなどの、

「データを読み取るときの注意点」などにも

言及しているため、

大学生にとっては、レポート作成などにも

役に立つと思います。

4、変わらないところもある


確かに、本書を通して

「最近の若者」が見えてくるのですが、

その一部は、いや、もしかすると半分くらいは

どの世代でもそうなのではないか

という点もありました。


それは、筆者の考察が的外れだとか

そういうことではなくて、


日本という国で生きている以上は、

もっと言えば、人間である以上は

「誰しもこういうことってあるよね」

という部分があるからだと思います。


「今の若者」という第三者にフォーカスしながらも

最終的には、自分自身を見つめ直すことになりました。


私は、

このような

・自分に当てはめて考える

という点は、

読書のプロセスにおいてとても大切であると考えています。

そして、それが読書の真骨頂だとも思います。


音声や動画とは異なり、

ゆっくりと自分のペースで進めていける「読書」というスタイルだからこそ

立ち止まって考える機会を与えてくれるからです。


その他の良かった点


文章で登場する統計データは

一般教養として、知っておいて損しないものだと思いました。

・大学生の企業に求めるもの

・国別の起業精神のランキング

・大学生が仕事で何を重視するか

などなど、

私が想像している結果とは違っているものもあって

勉強になりました。


また、「若者論」をアップデートできた

という点も良かったと思います。


本書が出たのは2022年の3月。

コロナ禍での世の中の変化などの考察も行われており

まさに2023年現在の大学生の世代の実情を

知ることができる点でも良い本です。


例えば、

・大学生は貧乏で、いつもお腹を空かせている
→だから「タダでご飯が食べられる」という話にすぐ食いつく。


というのは、すでに過去の言説であり、

現在は

・タダで何かをもらうこと自体に抵抗がある

ということだそうです。


こうした

その言説はもう古いですよ〜

という例をいくつも挙げてくれているので、とても参考になりました。


本書の最後に
社会人、若者それぞれに向けた

筆者の思いがつづられている部分がありますが、

これまでのデータに基づく冷静な分析とは異なる

筆者のパッションを感じる部分もなかなか感動させられます。


個人的に、筆者の学習に対する価値観、考え方には

とても共感できました。

最後に

前述の通り、

一見無秩序に散らばっている点のような若者の行動を
「いい人症候群」という一つの線につなげていく
手法は
実に見事であり

そこが本書のハイライトかなと

私は感じました。

また、「いい人症候群」を発症する原因についても

納得のいく考察をしていました。


読みやすく、「考察の入門」としても

最適な一冊だと思います。


さて、いかがだったでしょうか。

あえて、本書の核心に触れるような

いわゆる”ネタバレ”は避けて書きました。

とても読みやすい、

しかし勉強になる一冊だと思います。

詳しい分析は、ぜひ本を読んで味わっていただければ

と思います。

→Amazonのページはこちら



足を運んでくださりありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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