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DJ Boonzzyの第66回グラミー賞大予想#2〜ダンス&エレクトロニック部門

さてどんどん行きます、次はダンス&エレクトロニック部門の予想。今年からこの部門は「最優秀ポップ・ダンス・レコーディング部門」が新設されて3部門になっています。


6.最優秀ダンス/エレクトロニック・レコーディング部門

  Blackbox Life Recorder 21F - Aphex Twin
✗ Loading - James Blake
  Higher Than Ever Before - Disclosure
◎ Strong - Romy & Fred again…
◯ Rumble - Skrillex, Fred again… & Flowdan

昨年この部門のブログで「通常この部門はEDMやクラブDJ専門のアーティストがノミネートされることが多い」と書いて、確かに例年の傾向もそうだったんですが、今年のノミネートの顔ぶれはいつになくメジャーどころが並んでます。90年代以降このアンビエント系DJとしては第一人者であり続けるエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスフジロックを初め何度も来日し世界中でも独特のサウンドスケープが高い評価を集めるジェイムス・ブレイク、そのジェイムス・ブレイクに影響されたローレンス兄弟によるエレクトロ・デュオのディスクロージャー、そしてスクリレックスといずれもこれまでグラミーのこの部門でノミネートもしくは受賞(除くディスクロージャー)して来たいずれも実績充分の面々なので誰が取ってもおかしくないのですが、このラインアップを見て真っ先に目を引くのは、今回最優秀新人賞部門にもノミネートされているフレッド・アゲインが2曲でノミネートされていること

ロンドン出身のフレッド・アゲイン(本名:フレデリック・ジョン・フィリップ・ギブソン)はもともとソングライターやプロデューサーの仕事で2010年代からジョージ・エズラ、エド・シーラン、クリーン・バンディットといったUKアーティスト達との仕事で実績を積んできて、2020年にはブリット・アウォードで年間最優秀プロデューサーを受賞しているくらい既にシーンでは知られてるんですが、2022年10月リリースのアルバム『Actual Life 3 (January 1 - September 9 2022)』(全英4位)でアーティストとしてもブレイクしたところ。でもそれにしても全米では全然メインストリームブレイクしてないのに、最優秀新人賞ノミネートというのもかなり異例ですが。ともあれ、今回その彼が、The xxロミーとコラボした『Strong』と、スクリレックス、UKのグライム・ラッパー、フロウダンとコラボした『Rumble』の2曲でノミネートされてるのって、破格の扱いな感じがするのでどちらかが本命◎に違いないと。で聴き比べた結果、より軽快なエレクトロEDMポップの「Strong」が本命◎、一応この部門で過去3回受賞のスクリレックス絡みの「Rumble」を対抗○にします。

そして穴✗は今回このダンス/エレクトロニック・レコーディング部門と、アルバム部門、更には最優秀ラップ・ソング部門でキラー・マイクの曲で合計3部門ノミネートのジェイムス・ブレイクのアンビアントな「Loading」に。

7.最優秀ポップ・ダンス・レコーディング部門(新設部門)

◎ Baby Don’t Hurt Me - David Guetta, Anne-Marie & Coi Leray
○ Miracle - Calvin Harris f/ Ellie Goulding
✗ Padam Padam - Kylie Minogue

  One In A Million - Bebe Rexha & David Guetta
  Rush - Troye Sivan

さっきの部門がEDM・クラブ寄りのDJ達向けの部門とすると、 今年新設されたこちらはよりポップな楽曲とメインストリーム・ポップ・アーティストとのコラボが得意なDJ向け、という感じですね。これまでのダンス・レコーディング部門って、この2つの似て非なるジャンルが同居していた感はあったので、これを分化するというのはそれなりに意味のあることだとは思います。

そして今回ここでも2曲ノミネートに絡んでるヤツが一人、そうフランス人DJデヴィッド・ゲッタ。彼これまでこのダンス部門で4回ノミネートされてますが未だこの部門では無冠(リミックス部門では2回受賞)、去年も圧倒的な世界的ヒットだったビービー・レクサとの「I’m Good (Blue)」が、寄りによってビヨンセの「Break My Soul」に賞をさらわれるという目にあったばかり。なので今回は本命◎は多分堅いでしょう。問題はどっちの曲か、ということですが、懐かしやハダウェイの「What Is Love」を本歌取りした「Baby Don’t Hurt Me」の方がヒットもしてるし、共作者にエド・シーランも入ってるということでこちらに分があるかと。

同じようにポップ/アーティストとのコラボが多いハウス系DJということではスコットランド人DJのカルヴィン・ハリスもやはり強力だと思うので、対抗○は彼がエリー・ゴールディングとコラボした「Miracle」に。穴✗は昨年秋のアルバム『Tension』が久々に高い評価を集めた、カイリー・ミノーグにとって5年ぶりの全米ダンスチャート・トップ10ヒットになった「Padam Padam」に付けておきましょう。

8.最優秀ダンス/エレクトロニック・ミュージック・アルバム部門

○ Playing Robots Into Heaven - James Blake
  For That Beautiful Feeling - The Chemical Brothers
◎ Actual Life 3 (January 1 - September 9 2022) - Fred again…
  Kx5 - Kx5
✗ Quest For Fire - Skrillex

そしてこのダンス/エレクトロニック部門最後はアルバム部門ですが、5候補のうち、3候補つまりジェイムス・ブレイク、フレッド・アゲインそしてスクリレックスが他の前の2部門にノミネートされているので、普通に考えてこの中から受賞者が出ると見るのが順当だろうと思います。え?過去この部門3回(2006年48回、2008年50回、2020年62回)受賞の実績あるケミカルズも有力候補じゃないかって?いやいや、確かにこの部門ケミカルズは歴史的に強いんですが、その受賞した3回とも、レコーディング部門にも楽曲がノミネートされてるのに、今回は見てもらった通り、レコーディング部門には彼らの名前はないんですわ。また過去の実績、という点で言えば、スクリレックスだって過去3回(2012年54回、2013年55回、2016年58回)受賞してますしね。ただ、ここはレコーディング部門で本命◎付けたフレッド・アゲインがやはり来るのではないか、というのが自分の見立てです。何と言っても新人賞部門ノミネート、というのがアカデミーの嗜好を表してるような気が凄くするんですよね。レコーディング部門ノミネートの2曲はいずれもこのアルバムの曲じゃないんですが、明らかにアカデミーの注目度が違うと思うので

対抗○はジェイムス・ブレイクスクリレックスで迷いましたが、レコーディング部門でも自身の楽曲が単独でノミネートされていて、これまで6回のグラミーノミネートで未だ無冠のジェイムス・ブレイクのいつもより実験的な色合いの濃いアンビアントな内容が評価の高い『Playing Robots Into Heaven』にしました。

スクリレックスは実はこの『Quest For Fire』のリリース翌日にもう1枚『Don’t Get Too Close』という、ピンクパンサレスジャスティン・ビーバー、ドン・トリヴァーらをフィーチャーした、メインストリーム寄りのキャッチーなアルバムをリリースしてるんですが、チャートインしたのはこっちのよりEDMハードコアな内容の『Quest For Fire』で、ノミネートもこちら。内容的に対抗○にはちょっとキツいかな、ということで穴✗にしておきました。デッドマウス(Deadmau5)カスケイドというこの部門のノミネート常連の2人によるユニット、Kx5も気にはなりますが、まあ予想はこの3つに絞っていいでしょう。

ということでサクッとダンス/エレクトロニック部門はこれでおしまい。次はロック・オルタナティブ部門の予想になりますが、こちらは6部門になるのでちょっと気合いを入れて行きます。お楽しみに。

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