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DJ Boonzzyの第66回グラミー賞大予想#4〜R&B部門

今週末は雪もちらつく天候の中、ちょうど一年前のこのグラミー賞大予想ブログを見返してたら、一年前も天気の悪い週末だったみたい。いよいよ冬本番という感じなので、風邪など引かぬようグラミー賞大予想ブログでも読みながらゆっくりお過ごし下さい。なお、昨日の土曜日午後にはインターFMDJオッシーさんの番組『Radio Disco』に、1/23『ソウル・サーチンラウンジ』でご一緒する予定の吉岡正晴さんがゲスト出演されて、吉岡さんと私の主要4部門予想を発表したのがオンエアされたようです。放送聴かれた方、主要4部門予想はまだこのブログでは公開してないんで、それまではしばらく内緒にしといて下さい(笑)。さて、次はR&B部門の予想。ここにも今回のグラミーの台風の目になりそうなアーティストがいくつか登場しています。


15.最優秀R&Bパフォーマンス部門

  Summer Too Hot - Chris Brown
  Back To Love - Robert Glasper f/ SiR & Alex Isley
✗ ICU - Coco Jones
○ How Does It Make You Feel - Victoria Monét
◎ Kill Bill - SZA

今回のグラミーの最大の焦点は言うまでもなく、主要3部門を含む最多9部門にノミネートされたSZAがいくつ受賞するか、と言う点ですが、もう一つ、意外性という点で大きな話題を呼んでる、7部門ノミネート(含むROY)のヴィクトリア・モネの動向でしょう。ヴィクトリアアリアナのアルバム『Thank U, Next』でタイトル・ナンバーや「7 Rings」など6曲を共作したので一躍ソングライターとしてその名がシーンで知られた人だったんですが、今回アーティストとしてブレイクしたということでノミネート対象になった途端7部門ノミネート、ということでちょっとしたサプライズ状態。いきおいこの二人はこのR&B部門でがっぷり四つに組んでる状態で、SZAはR&Bアルバム部門以外の3部門、ヴィクトリア・モネはプログレッシヴR&Bアルバム部門以外の3部門にノミネートされてて、つまりアルバム部門以外ではガチに激突してるわけです。当然この3部門でこの二人が本命○対抗◎を取り合う、という構図になるのですが、自分の予想としては、SZAの3部門総取りをヴィクトリア・モネが一つ取って阻む、というもの
ではそのヴィクトリア・モネが取る部門はどれか、と言うことになるのですが、このR&B部門最初の部門である、パフォーマンス部門ではSZAのROY・SOY両方にノミネート、昨年R&Bソングス・チャート30週1位の「Kill Bill」がでーんと控えてるので、さすがにここはSZAが取るんでしょう。ということで本命◎はSZAしかなさそうです。

ただ、ここでノミネートされてるヴィクトリア・モネの「How Does It Make You Feel」、これもヴィクトリアとプロデューサーのDマイル(そう、あのシルク・ソニックのプロデューサー兼仕掛人です)渾身のソングライティングでもの凄くいい曲なんですよ!70年代のミニー・リパートンあたりの作品を彷彿とさせる、オーセンティックでオールド・スクールなR&Bの名曲。これがここで取れないのは惜しいと言うしかないけど、でもここでは対抗○付けるしかありません。

今回このR&B部門で穴✗付けるというのがあまり生産的な作業にならないのが残念なんですが、ここはやはり最優秀新人賞部門にヴィクトリアと並んでノミネートされてるココ・ジョーンズの匂い立つようなR&Bバラード「ICU」に付けとかなくてはいけないんでしょう。クリス・ブラウンの新作もなかなか良かったし、ロバート・グラスパーが、黒人女性4人組の友人達が助け合って愛と仕事(一人は学生なので学業)で女性自己実現に向けて悩み笑い成長していく、というTVコメディシリーズ『Run The World』の主題歌として書いた「Back To Love」も幻想的なサウンドスケープがなかなかいいんですがね。

16.最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス部門

✗ Simple - Babyface f/ Coco Jones
  Lucky - Kenyon Dixon
◎ Hollywood - Victoria Monét f/ Earth, Wind & Fire & Hazel Monét
  Good Morning - PJ Morton f/ Susan Carol
○ Love Language - SZA

そしてそのSZAヴィクトリアのガチ勝負第2ラウンドがこの最優秀トラディショナルR&B部門。そしてヴィクトリアSZAを抑えて受賞するとしたらこの部門しかないと思うんですよね。まず、SZAの「Love Language」は確かにあの先進的なサウンドスケープで組み立てられたアルバムの中ではオーセンティックなR&B楽曲なんですが、最強の曲じゃないと思うんですよね。もしここに「Snooze」が来てたら文句なしにSZAだと思うのですが。

これに対するヴィクトリアの方は、アース、ウィンド&ファイアヴァーダイン・ホワイトのファルセット・ボーカルとヴィクトリアの美しくも官能的なボーカルが絡み合う絶妙のオーセンティックなR&B楽曲であるのに加えて、最後に自分の2歳の娘のヘイゼルちゃんの愛くるしい笑い声というか泣き声をぶち込むというほぼ反則技とも言える飛び道具でもう聴く者のハートをとろけさずにはおかないわけで、こりゃあこの部門は本命◎ヴィクトリアで対抗○はSZAですね。このノミネートでヘイゼルちゃんグラミー史上最年少ノミニーの記録を更新した、というのも何やら暗示的ですよね。

そして穴✗は再びココ・ジョーンズ、というわけですが今度は御大ベイビーフェイスを担ぎ出してるこれはこれで素晴らしいデュエット・ナンバー「Simple」。結構ベイビーフェイスって、今回のグラミーR&B部門ではキーを握ってるんですが、その件は次のソング部門で。

17.最優秀R&Bソング部門(作者に与えられる賞)

  Angel - Halle (Halle Bailey, Theron Feemster & Coleridge Tillman)
  Back To Love - Robert Glasper f/ SiR & Alex Isley (Darryl Andrew Farris, Robert Glasper & Alexandra Isley)
✗ ICU - Coco Jones (Darhyl Camper Jr., Courtney Jones, Raymond Komba & Roy Keisha)
○ On My Mama - Victoria Monét (Dernst Emile II, Jeff Gitelman, Victoria Monét, Kyla Moscovich, Jamil Pierre & Charles Williams)
◎ Snooze - SZA (Kenny B. Edmonds, Blair Ferguson, Khris Riddick-Tynes, Solána Rowe & Leon Thomas)

SZAヴィクトリアのガチ勝負第3ラウンドはこのソング部門。いやいやここでSZA側が「Snooze」を出してくるということはもうこれだけでSZAの本命◎はほぼ決まりと言うしかないでしょう。ヴィクトリアの方も一番ヒットしてて、彼女の今回のブレイクのきっかけにもなった「On My Mama」をぶつけてきてるのですが、さっき名前の出た御大ベイビーフェイスが共作、プロデュースも担当してて「これぞ本格的R&B」という風格ある「Snooze」には残念ながら勝てないですね。ということで本命◎SZA、対抗○ヴィクトリアで、ガチ勝負はSZAに軍配が上がるというのが自分の見立てになります。

そしてここでもココ・ジョーンズもこの2人に決して劣らない存在感を感じさせる名バラード「ICU」(緊急治療室ではなく、I see youの意)でノミネートされてて、穴✗は彼女に付けざるを得ないでしょうね。この曲、ジャスティン・ティンバレイク(そういえばココジャスティンディズニー番組出演がキャリアのスタートなんですよね)がフィーチャーされたリミックス・バージョンもあって、そこでのジャスティンのパフォーマンスが素晴らしいので、このリミックス・バージョンがノミネートされてたら大いに悩んだんでしょうが、それでもこの順番は変わらないんでしょうねえ。いやいや、今年のR&B部門はとてもレベルの高い戦いになってますね。

18.最優秀プログレッシヴR&Bアルバム部門

  Since I Have A Lover - 6LACK
  The Love Album: Off The Grid - Diddy
✗ Nova - Terras Martin & James Fauntleroy
○ The Age Of Pleasure - Janelle Monáe
◎ SOS - SZA

そしてジャンル最終部門のアルバム部門。先ほども書いたように、このジャンルでガチで激突しているSZAヴィクトリアが、ここでそれぞれプログレッシヴR&Bと通常のR&Bと二手に分かれてノミネートされてますから、普通に考えるとこの部門の本命◎はSZAの『SOS』ということになります。アルバムのセールス的にもトリプル・プラチナ(300万枚売上)ですし、チャート的にも一昨年12月リリースから今週まで通算53週R&Bアルバムチャート1位と記録的なパフォーマンスなので、まあ問答無用という感じです。

しかしこの部門でもこの間のオルタナティヴ部門同様、SZA以外にもう一枚、主要部門、それも最優秀アルバム部門ノミネートのジャネル・モネイ『The Age Of Pleasure』がドーンと控えていて存在感満点。シーンからの評価も高いこのアルバム、対抗◯としてはこちらも申し分ないわけですが、オルタナティヴ部門のように本命を覆してここで受賞する可能性もゼロではなさそう。この部門、実はかなりの接戦なのかもしれません

残る3作のうち、穴✗にしたのは、LAのコンテンポラリーなR&Bジャズシーンを牽引する一人、テラス・マーティンと、テラス同様ケンドリック・ラマー人脈のソングライター兼プロデューサーのジェイムス・フォーントゥルロイのコンビによる軽快なボサ曲なんぞもあって「え、この2人でこんなこともやるんだ」とちょっと驚いた気持ちいいフュージョン・アルバム(というか6曲入りEPですが)が頭一つ抜けてる気がするのでこちらに。去年9月にビルボード・ライブで観たライブも良かったしなあ。一方ディディ(=パフ・ダディ)の17年ぶり豪華ゲスト山盛りのアルバムも話題性は高いですけど、内容的には「よく出来たR&Bヒップホップ作品」ということでしかないと思うし。

19.最優秀R&Bアルバム部門

✗ Girls Night Out - Babyface
○ What I Didn’t Tell You (Deluxe) - Coco Jones

  Special Occasion - Emily King
◎ Jaguar II - Victoria Monét
  Clear 2: Soft Life EP - Summer Walker

そしてプログレッシヴR&BアルバムがSZAなら当然このR&Bアルバムではヴィクトリア・モネJaguar II』が本命◎ということになります。ヴィクトリアと並んで最優秀新人部門にノミネートされてるココ・ジョーンズのアルバムもR&Bアルバムとしては楽曲の粒も揃ってるし、本人の歌唱も達者だし、とても出来のいい作品だと思いますけど、ヴィクトリアのアルバムはそのまた一段上を行く(特に70年代ソウル好きにはとてもたまらない)楽曲と歌唱でまあこの部門では無敵でしょう。何と言ってもシルク・ソニックでソウル・ファンをメロメロにしてしまったDマイルが全曲共作・プロデュースなんで。従ってココ・ジョーンズは対抗◯ということになります。

穴✗は残り3作のうち、ベイビーフェイスサマー・ウォーカーのどちらかなのは間違いないところですが、なかなか甲乙付けがたいところ。迷った結果、やはりトラディショナルR&Bパフォーマンス部門にもココ・ジョーンズとのデュエットがノミネートされてた御大ベイビーフェイスにしました。全13曲が女性R&Bシンガーたちとのデュエット曲、というベタなんだけどベイビーフェイスならではの企画もニクいところですしね。

ということでR&B部門は終わりで、やっと全体の3分の1程度を消化。ふう。次はラップ部門の予想になります。引き続きよろしくお付き合いのほどを。

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