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絵本とCDどうしよう問題

本棚に並ぶたくさんの絵本を、気付けばちっとも読まなくなった。
娘たちが小さいころは、それを口実にして、古本屋を巡ってはどっさり絵本を買って帰った。最高に楽しい買い物だった。絵と文字と声を同時に味わえる絵本には、生きる力がみなぎっている。いい声をつくって、心を込めて朗読すると、心がふくふく満ち足りてくる。本棚に絵本のある風景が大好きで、絵本が増えるごとに幸せだった。

小さいころは、毎晩寝かしつけに絵本を読み聞かせていた。子どものためというよりも、ほとんど私の自己満足だ。寝る前の準備がスムーズにいかなくて、読む直前までイライラしていても、ひとたび絵本を読み始めると、心が穏やかになった。

今はもう、寝かしつけの絵本も読まなくなったけれど、クリスマスイブだけは、寝る前に次女と『サンタクロースと小人たち』を読んだ。毎年の恒例になっていて、「あれ読む?」と聞いたら「うん!」と、すぐに本棚から探し出してきてくれたので、ほっとした。「さすがに、もういいわ」と言われたら、立ち直るのに少し時間がかかったかもしれない。

絵本と私の関係を、これからどうしていこう。どの絵本にも自分自身の幼少期や育児の思い出が詰まっているから、手放すことなど今は考えられない。形さまざま色とりどりの背表紙を眺めているだけで、幸せといえば幸せだけれど、手に取らないのはやっぱり寂しい。かといって、なかなか手に取るきっかけもない。日替わりで、表紙が見えるように飾ってみようか。いやいや、私はそんなにまめなことのできる性分ではない。
どうしよう、どうしよう、と思いながら背表紙を眺めている悩ましくも甘ったるい時間が、わりと嫌いじゃなかったりするので、困ったものだ。たぶんずっとこのままかな。

絵本と同じくらい大事で、同じ運命を辿りそうなものがある。箱にぎっしり詰まったCDアルバムたちだ。最近の音楽鑑賞はもっぱらSpotifyのためCDは要らなくなってしまったのだけれど、一枚一枚に青春が詰まっているので、手放せない。
中学時代から大好きなB'z。高校時代に深く共感し影響を受けた浜崎あゆみ。大学時代浴びるように聴いたスピッツと椎名林檎。『天体観測』に衝撃を受けて、聴いたその日にCDショップへ走ったBUMP OF CHICKEN。会社員時代にたくさん聴いて泣いたエレファントカシマシ。それから、イエモン、エレカシ、アジカン、くるり、Coccoなどなど·····どれもこれも、思い出深くて手放せない。育児が一番大変だった時期にハマって集めたビートルズも宝物だ。

絵本もCDも、自分の芯となる部分を育て守ってきてくれた、かけがえのない栄養分なのだと思う。だから、眺めれば眺めるほどに、ああどうしようどうしようと、甘ったるくて悩ましい気分になる。これから先もこの関係を、ずっと続けていくのだろうか。いくのだろうな。