無題

ネット議論基礎:生産的な議論と不毛なネットバトル

 とりわけ140字の制限があるTwitterで議論などをすると、お互いにメダパニにかかることがしばしばある。そういう議論をTogetterとかでもよく見かけることだろう。3人以上だともっと酷い。とにかくみんな混乱していることだけは分かるが、誰もいま一体何が起きているのか分からないのだ。

 そうした混乱が起きる原因は大きく分けて3つある。すべての不明瞭なTwitter議論は、以下のような不明瞭さを持つツイートから出発する。

① 目的・結論を書いていない。

② 大前提を書いていない。

③ 主要な用語の定義がなされていない。

 いずれも「主張」という言論活動を行い、生産的な議論を志向するのなら、明記されていてしかるべきである。あるいは少なくとも、質問された場合には答えるべきである。が、たいてい書かれないし、不思議なことに上記のような穴があってもあまり質問されない。書かれないことに関しては、書き手側にとっての有利・不利の判断もあるため一概に否定はできないが、質問できないのは些か能力的に残念である。

 本稿では、「書いてないとは具体的にどういう状況か?」をそれぞれ説明し、そうした状況に陥るメカニズムと、生産的な議論に持っていくための対策について述べる。

目的・結論を書いていない

 例えば私が「少子高齢化対策のために、地方自治体は積極的に街コンを開くべきだ」ということを言ったとしよう。まあ言うわけないが言ったとしよう。それに対して「街コンでセクハラ被害を受ける女性も多いですよ」とリプライがつく。

 私は考える。

 ―――うむ。なるほど。…………まあ、そうかもしれないな?

 確かにそうかもしれない。が、それは純粋な情報提供に過ぎないのか、あるいは「ゆえに街コンを積極的に開くべきではない」という反対意志の表明なのか、あるいは「大筋で賛成だが、安全対策が必要」という程度のゆるい修正要望なのか、その一言だけでは判別がつかない。どれもありうる解釈である。

 簡単にいえば、これが「目的の分からないツイート」だ。できれば「セクハラ被害を受ける女性も多い。したがって……である」まで書いてもらえると非常に助かるのだが、そうはしてもらえない。

 生産的に議論を進める場合は、ここできっちり質問して確認を入れる必要がある。


大前提が書いてない(「書かない」のが普通だが)

 有名な三段論法。うんざりするほど見たことがあるアレ。

 大前提:すべての人間はいずれ死ぬ。

 小前提:ソクラテスは人間である。

 結論:ソクラテスはいずれ死ぬ。

 ただここに注意点がある。通常の議論において、大前提は明記されないのが普通である。明記していないから悪いとはただちには言えない。実際、「ソクラテスは人間だから、いずれは死ぬでしょう」と言えば、大前提は確かに書いていないが、それで十分な説明になっている。言わなくても広く共有されている事実だからである。

 しかし、「タバコは健康に悪いことだから、禁止されるべきでしょう」のように、明記されなかった大前提「すべての健康に悪いことは禁止されるべきである」が相当議論の余地を残している場合もある。

 もちろん、これに対してツッコミを入れるとたぶん「『すべての』という訳ではない」と返ってくるだろう。

 はい。大丈夫です。分かってますよ!

 だが「タバコが禁止されるべき理由」として「健康に悪い」という1点しか挙げられていないのなら、大前提を推測する側はいったん「すべての」をつけることが避けられない。これはご理解頂きたい。こちらとしては「タバコ」を特別扱いするような判別条件をまだ聞かされていないのである。

 判別条件を確認してから、さらにその判別条件が妥当で合意できるものであるかどうかをすり合わせる必要がある。(突き詰めていくと、たいてい「あまりにもマイルールすぎる」という所に帰着するのだが……)


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