見出し画像

なぜヤゴはトンボに変態するのか?

 私の幼少期は、カマキリを捕まえてきてバッタを虫かごに入れて、カマキリがバッタを食べる姿を見て「すごいなぁ」とか、アゲハチョウの幼虫を捕まえて、蛹になって、成虫へと変化する過程を見るのが楽しかったり、そんなに深く考えずに飼育し、観察をしていました。

大人になった今、息子と虫を飼育し、観察する中でいろいろな疑問が湧いて出てくるようになりました。

例えば、「なぜトンボはわざわざヤゴからトンボに変態するのか?」ということです。

皆さんはどう思いますか?トンボにならずに、水の中で生息していても別に問題なさそうじゃないですか?

なぜわざわざリスクを背負ってヤゴからトンボになるのか?

ということで、少し調べてみました…。


虫の成長には、完全変態と、不完全変態に別れます。

完全変態

「完全変態」をとる虫は、チョウ、ハエ、ミツバチ、甲虫であるカブトムシなど、既知の昆虫のうち実に75%が完全変態をおこない、卵、幼虫、蛹、成虫の4つの段階を通じて成長します。

不完全変態

「不完全変態」は蛹の段階が含まれず、卵、若虫(幼虫)、成虫という3つの段階があります。若虫は小さな成虫のような外見をしたものが多く、自分の皮を食べたり脱皮したりを繰り返し、成虫になります。

(ちなみにトンボは蛹にはならないので不完全変態になります・・・。)


「変態」は、虫たちにとっての生存戦略なんです。

幼虫と成虫は異なるものを食べます。たとえばチョウは、幼虫の時にすべての発育変化を成し遂げるため、栄養豊富な葉を大量に食べるのに対し、成虫は花の蜜(本質的には砂糖水)を少し飲むだけでいいのです。

このように成長にしたがって異なる形態を持つ種は、「競合のない場を作り出したのです」と米アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学の昆虫学者ケイティー・プルディック氏は言っています。

親と子が資源を奪い合うことなく、双方のライフステージを独立して送ることができるわけですね。よく考えられていますよね。

昆虫は変態することで、自分をまったく新しく作り変え幼虫の時には行けなかった場所に行き、探検できるようになるのです。

トンボだけでなく、カブトムシやセミなども、幼虫の期間が長く、成虫の期間が短いことからも、成虫は種を残すことだけにすべてをかけているということがわかりますね。

「変態」というリスクを抱えながらも種を残すために生きる昆虫はとても不思議がいっぱいです。

今回なぜ、変態というリスクを背負ってまで、「ヤゴからわざわざトンボになるか?」の明確な答えは分かりませんが、自分の種をいろいろな場所に残し、種の生息範囲を広げていくためには、いろいろな水辺のある場所へと飛んでいく必要があり、そのためにトンボという形へと変態する戦略をとったのだと私自身は考えました。

もしかしたら大昔のヤゴの中には水中で生活していなかった種がいたかもしれませんし、なぜヤゴは水中で生きる戦略をとったのかも本当のところは私にはよくわかりません。疑問が尽きないので、ここらへんで思考停止…。

私たち人間が、生理的早産で生まれる理由も、二足方向で歩くことも、道具や言語を得たことも、根本は種をどう残すか、どのように生き残るかということにかえってくるように感じます。

私たち人間も生物だということを、昆虫の飼育や観察から学べるかもしれません。

ぜひ、子どもと一緒に昆虫や動物を観察しながら、「なんで??」を見つけてみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?