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#442 アルバム論16|Jealousy / X(1991)

これまでXのアルバムはインディーズ時代の「VANISHING VISION 」と、1stの「BLUE BLOOD」の2枚を紹介してきました。

そして今回は、僕がXで最も好きで、最も最高傑作と思っている2ndアルバム「Jealousy」を紹介しましょう。


Jealousy リリース時のX

BLUE BLOODツアーが終わって、X人気は爆発!
CDの売上もでしょうが、ファン達が鬼のようにツアーグッズを買ったりで、相当潤っていたと思われ、Xはレコード会社のSONYからの扱いも相当VIP待遇だったようで…

そんな中で2ndアルバム「Jealousy」のレコーディングが始まったようですが、メチャクチャです笑

通常の海外でのレコーディングは当時の基準では2ヶ月で4千万程だったが、本作のレコーディングではロサンゼルスに6ヶ月滞在し、ソニーが約2億円負担した。その内1ヵ月半は首の骨を痛めてしまいドラムを叩けなかった。

そして、僕もwikiを見て知ったんですが、このJealousyには元々「STANDING SEX」「Sadistic Desire」の+2曲が収録され、更には「Art Of Life」も収録される超豪華2枚組だったらしいんですが、YOSHIKIのケガで、延期、延期、延期、延期!

そして、ソニーには下記のような事情があったようで・・・

ソニーの上場に際し、5ヵ年決算に『Jealousy』の売上が必要になったことから、ソニーから1枚のみでのリリースを要請された。YOSHIKIは予定通り2枚組でリリースしようと譲らなかったが、レコード会社の重役がYOSHIKIを説得しにロサンゼルスまで来たため、YOSHIKIが折れて1枚物でのリリースとなった。

普通のアーティストの2ndアルバムとは思えない、とにかくスケールが違いすぎるんですね笑

結果、STANDING SEXは謎のタイミングで発売され、Sadistic Desireはその後シングルカットされたSilent JealousyのC/Wとなり、Art Of Lifeは翌々年に日の目を浴びることと成ります。

とにかく、そんな感じのいわくつきのアルバムでした。


Jealousy との出会い

時期は覚えてないですが、中1か中2の頃、解散前だった気がします。
既にシングル曲は知っていたので、アルバム曲を聴きたくて買いましたが、結果的に大満足。

とにかく「Silent Jealousy」という超攻撃的なロックンロールと、「Say Anything」という超守備的なロックバラードの圧倒的2TOP。
98年W杯チリの「サ・サコンビ」に匹敵する、まさにサモラノとサラスばりの存在感で、この2曲だけでこのアルバムを買う価値はあったでしょう。
この2曲の先入観が無く、リアルタイムでこれを聞いた人が羨ましいですね。

YOSHIKIはこの2曲に全精力を注ぎ、もう1曲はインスト、もう1曲はインディーズ時代の曲という全4曲。
hideが全3曲と検討し、TOSHI&TAIJIのコンビで2曲、そしてPATAが1曲!
PATAの現時点でのXでの唯一の単独作曲はこの曲だけのはずです。

そんな感じでメンバー全員で作った作品ですが、改めてこのアルバムに「STANDING SEX」「Sadistic Desire」「Art Of Life」が入ってたら鬼でしたね・・・


Jealousy 魂の全曲解説

1. Es Durのピアノ線

以前でXの好きな曲BEST10でも紹介したように、最高に好きな曲です。
1日で作ったクオリティとは思えないですよね。
とにかくYOSHIKIの才能がキラリと光る、次曲のsilent jealousyを光らせる、最高のオープニングナンバーです。

とにかくメロディが美しい中で、終盤で壊れていく不協和音の演出とか、すげーカッコいい。流石です。


2. Silent Jealousy

そしてこれですね、僕がXで一番好きな曲を問われれば迷わず挙げる、日本を代表するスーパー・メタル・ロックンロール・ソングでしょう。
もうどの角度から見てもカッコいいですよ。

最初のピアノはあってもなくてもいいんですけど笑、YOSHIKIのカウントから始まる爆発的なイントロ。そこのギターリフがすげーカッコいいです。
曲が始まるまで多分1分くらいあるんですけど、ワクワクして気にならないんです。この辺が曲として素晴らしいですよね。

そしてAメロの英語の所もカッコいいし、Bメロのメロディもいい、そしてサビもカッコいい。とにかく隙が無いんです。

そしてベースソロ、ピアノソロと続き、最後に続くギターソロ。このギターソロは本当に大好きですね。すべての曲のギターソロの中で下手したら一番好きかも知れません。テンション上がりまくりますよね??
HIDEとPATAのユニゾンが最高にカッコいいし、途中からのHIDEのライトハンドも熱い。

永遠に聞ける名曲です。
ちなみにこれもいいですよ!


3. Miscast

このアルバムはHIDEの奮闘が素晴らしいんですけど、このMiscastというタイトル、そして歌詞がアルバムのテーマである「嫉妬」に相応しい感じですね。
関係ないですけど友人が職場で新卒時代に同僚と行った初カラオケで「Miscastを歌った同期がいたよ笑」と言っていて、是非その同期に会いたいと思った記憶があります笑
ソロでもガンガン歌っていた、HIDEを代表する1曲ですね。


4. Desperate Angel

これはTOSHI&TAIJIの曲ですけど、もう海外のロックンロールって感じですね。ハードロックというかなんというか。普通に外人が歌ってそうな曲です。
「ならず者の天使」というタイトルがカッコいいですね。


5. White Wind From Mr.Martin ~ Pata’s Nap~

そして恐らくXで唯一のPATA単独作曲の曲です。
(3rdのDAHLIA収録のWRIGGLEはHEATHとの共作)
このアルバムにおいては箸休め的な曲ですね。
特に書くこともないので、次いきます笑


6. Voiceless Screaming

TAIJI作のXで唯一ピアノが入らない、アコースティックバラードですね。
そしてXで一番ギターが上手かったのはHIDEでもPATAでもなくTAIJIだったようで、TAIJIのギタースキルが炸裂する優しい曲です。

「声にならない叫び」という心痛な感情はまさに本アルバムのテーマである嫉妬に相応しいですね。

そしてやはり以降を知っているだけに、TAIJIはXに必要なピースでした。


7. Stab Me In The Back

前作のオルガスムに通じるところがある、変態ソングですね笑
「背中から俺を指してくれ」ですし、歌詞もいきなり「I'm Having "SEX"」とそうとうヤンチャしてます笑
ライブで盛り上がる曲ですね。そしてこの曲もオルガスムよろしく、曲中で無限にリピートできてしまってなかなか終わらないのが難点です笑


8. Love Replica

この曲は大好きですね。
前回のBEST10にも入れたくらい、メチャクチャカッコいいと思う曲です。
確か帯広の中古CD屋で買って、家に帰るまでの歌詞カード見て「どんな曲なんだろう」と想像し、家に帰って聞いた所、書いてあった歌詞がフランス人の語りで最初はちょっと残念だった記憶もありますが、ギターリフがとにかくカッコいいし、この語りとメチャクチャマッチしてるんですよね。
HIDEの天才っぷりが爆発した名曲です。


9. Joker

そして続けてもHIDEの曲ですね。
(多分)前作のCELEBRATIONに繋がる世界観の曲で、タイトルこそ「死神」ですが、とにかく楽しいゴキゲンな曲です。
曲の主人公は一攫千金を目指して街に出てカジノで稼ごうとするも、JOKERはカードの中で笑ってたという感じの曲で、まぁ結局はうまくいかんのでしょう。
この曲はみんな好きな気がしますね。
このアルバムリリース後、STANDING SEXのc/wとしてシングルカットされ、両A面扱いで発売されます。


10. Say Anything

そしてこの曲です。
僕がXで、いやこの世の中のバラードソングの中で一番好きと言っても過言ではない、本当に大好きなバラード。いつ聞いても泣けます。
以外にもX JAPAN時代を含めても一番売れたのはこの曲だったりするみたいなんですけど、YOSHIKI曰く「ENDLESS RAINに勝てなかった」とのことですが、十分勝ってます。というよりかは、自分の作った曲で競わせるのもよくわからないんですが笑

とにかく序盤のストリングスで泣けます。
そしてAメロのピアノとヴォーカルだけのところも凄く良いですね。
サビも良いし、その後の展開も最後まで素晴らしい。

あとはやっぱ歌詞ですね。この曲の歌詞は本当に美しすぎる。
まだ20代前半とかなのに、よくこんな歌詞かけましたね。

Time May Change My life
But My Heart Remains The Same To You
Time May Change Your Heart
My Love For You Never Change

時は俺の人生を変える
しかし君への思いは変わらない
時は君の気持ちを変える
君への愛は変わることはない

とにかく10分くらいあるのを感じさせない世界観に包まれます。
何回聞いてもグッとくる、マジで日本を代表する名曲ですよね。


おまけ. Standing Sex

そしておまけに、Jealosyにかろうじて間に合わずに収録されず、良くわからないタイミングでリリースされた悲しき曲です。
で、以前も書きましたが、この曲どういう意味なのかを地元のIQの低い友達と喋っていた際に「立ちバックの歌でしょ」と言ってましたが、多分違いますね笑
ドラッグの曲とかそんな感じだったはずです。

リフが印象的で、早く、歌詞も全部英語となかなか尖った曲です。
X JAPANになってからも演奏されていた数少ない曲ですね。


まとめ

以上、全10曲と思えないボリュームです。
そしてもっと言うと、Love Reprica含めるとインスト3曲なんで、実質7曲しか収録されていない感じなんですが、それを感じさせない重厚感があります。
とにかく冒頭でも触れましたが、やはりSIlent JealousyとSay Anythingの2曲が強すぎて、この2曲だけで元が取れる、そんなモンスターアルバムでした。

次回は、STANDING SEX同様このアルバムに収録されなかった、X今作最大の問題作と言われた「Art Of Life」を紹介します。

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