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ナンシー・フレイザー『資本主義はわたしたちをなぜ幸せにしないか』読んだ

このての本は『資本主義リアリズム』以降はもう読む気がしないのだが、ついつい買ってしまった。

著者はフェミニストであり、またその歴史認識はアナール学派のようなものに依拠しており、それだけで読む価値がないとわかりそうなものだが、買ったときはそこに気が付かなかったのだ。

とはいえ資本主義とはなにか、資本主義の発展段階などをマルクスに沿って説明してくので納得できる部分も多い。

労働者が生産手段から切り離されて、自由な労働市場に放り出される。その結果、生産物より少ない賃金しか支払われず、しばしばそれは再生産が可能な水準を下回る。これが資本主義における搾取および資本蓄積の基本的な構図である。

さらには周辺では搾取どころか奴隷労働のような収奪も行われて、中核における資本蓄積は飛躍的に進む。

重商主義に始まり、リベラル植民地主義、国家管理型資本主義、後期資本主義(ネオリベラリズム)といった資本主義の発展段階において、搾取と収奪のバランスはいろいろであるが、基本的な図式は変わらない。

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