定年後 547 日目 ふと思い出した電子音ドラマ?制作のこと (たぶん二度と思い出さない)
今日は大昔の話。
はじめてオーディオに興味を持ったのは高校生のとき。
立派なセットや周辺機器を一通り持っている友人と親しくなってから。
お金はないけどオーディオ環境を手に入れたいと思った私は、最初にスピーカーを作った。テクニクスのドローンコーンが付いたスピーカーユニット (Technics EKX-9P10) を秋葉原でひとつだけ買ってきて、ラワンの単板をボンドで貼りつけて作った。
次に持っていたラジカセ (SONY CF-1770) を改造して、内部スピーカーとパラレルに繋いだミニジャックの出力端子を本体上部に取り付けた。そこにスピーカーに繋いだミニプラグを差し込むと、内部スピーカーを鳴らさずに外部スピーカーだけ鳴らすことができた。
カセットを外部スピーカーで再生して悦に入るところから道のりは始まった。
やがてカセットデッキ (AIWA AD-7350) を購入して、出力をラジカセに繋いだ。モノラルだったもののラジカセはアンプとして機能するようになった。
次にステレオアンプ (Technics SU-8077) を手に入れた。
スピーカーも同じものをもう一つ作り、ようやくステレオの環境が整った。
このあとレコードプレーヤーやFMチューナーの中古を激安で購入したりして、一応オーディオの体裁を整えることができた。
オーディオ好きの友人たちも、基本的な機材を揃えるのに苦労していたから、私とおなじく周辺の機器を買うところまでは手が出なかった。
そんなある日、友人から歌を録音したからとカセットテープを渡された。
えっ、マイクなんか持っていないはずなのに? と思っていると、マイクジャックにヘッドホンを差してヘッドホンに向かって歌ってみたら録音できたという。
確かに、原理はどちらも同じだけど。
聴いてみると、地球の裏側の日本語放送を短波ラジオで聞いているような(わかるかなぁ)中音も低音も切り取られた質の低い歌声が聞こえてきた。
これならラジカセの内蔵マイクで素直に録音したほうがよっぽどマシだと思ったが、彼はラジカセを持っていなかったし、そのハングリー精神にちょっと感銘を受けた。
同じ頃、冨田勲のシンセサイザーミュージックにも惹かれていた。
親に格安のシンセサイザー (KORG MS-10) をねだってみても瞬殺されるだけだったりしていたが、なんとかして電子音を扱いたいと思っていた。
で、思いついたのがFMチューナーのホワイトノイズ。そしてアンプなどに繋げたLINEケーブルの端を指で触ると生じるブツブツというノイズ。
我が家にはオープンリールデッキ (SONY TC-104) もあった。このオープンリールデッキは速度を三段階 (19cm/s、9.5cm/s、4.8cm/s) に変えられて、録音した音を高い音にしたり低い音にしたりすることができた。
これらを使って電子音だけのラジオドラマを作った。
タイトルは「立て続けに行方不明になった2つのロケット」。
あらすじは発射したロケットが突然交信を断ってしまい、その原因究明に次のロケットが発射されたものの同じように交信不能になるというもの。
管制官(L)「(言葉を話しているようなリズムでLINEケーブルを触るノイズ)」
飛行士(R)「(同じく話しているようなノイズ)」
発射音(L+R)「(ボリュームを激しく動かして徐々に小さくなるホワイトノイズ)」
・・・
というような感じ。(伝わらないと思うけど)
ヘッドホンで歌を歌った友人にラジオドラマを録音したカセットテープを聴いてもらったが、もちろん詳細な解説をしないと何も伝わりはしなかった。(解説しても伝わったかどうか…)
それでも「シンセサイザーなんかなくたって」と思いながら工夫してモノを制作するのは愉快だった。
ホワイトノイズはオーディオ機器のいろいろなところにダメージを与えるので、ボリュームを大きくしてはいけないことを知ったのは、しばらく後のことだった。
半世紀ほど昔の話なのできっとイメージできないだろうと思い、いまの機材に例えようとアレコレ考えたが、該当する例は見あたらないなぁ。
2023 / 9 / 29
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