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アクティブファンドについて検討する記事 『農林中金〈パートナーズ〉おおぶねグローバル(長期厳選)』

 さて、今日は「お勧めのアクティブファンド」について解説したいと思います!
「いや、以前のnoteでインデックス最強って言ってたじゃん?!」という方は多分ほとんどいないと思われますが、読みたい方はこれを機にどうぞ……

インデックス投資はなぜ強いのか

 さて、「アクティブ投信の7割は、インデックスに勝てない」と言われていますが、逆に考えると「3割のアクティブファンドは、インデックスに勝利している」と言えます。
 その貴重な3割を発見するのは、多分難しいし、いくら過去のデータの裏付けがあっても、これから先の未来を保証するものではありません。そのファンドの投資チームが安定してインデックスを上回るかどうかは、結局はある程度の賭けになってしまいます。
 では、なぜ今ここでアクティブ投信を勧めるのか……
 実を言うと、アメリカの投資資金の半分が、インデックスに投資されているそうです。
 そう、それだけインデックスが増えてくると、逆にアクティブでいい銘柄を選んだ時のリターンって大きくなってくるのではないか……
 そういう逆張り投資家の血が騒ぎだしませんか?
 少なくとも僕は、そういう逆張りは大好きです。
 もちろん、インデックスをコアに据えて、あくまでサテライトで運用する、という前提です。しかし、アクティブも本当にいいものなら、それをコアにしてもいいかな、とすら思っています。
 もちろん、アメリカの話なので、例えば日本ではまだまだインデックスの割合は低いです。しかし、みんな投資先ってけっこうアメリカに偏っていませんか?
 全世界株インデックスだと、半分以上が米国株に投資することになります。むしろ米国株一択の人も多いと思います。
 そんな中、「隠れた名店」を独自のリサーチで探してくれるアクティブファンドがあれば、まさに絶好の分散投資になると考えられます。サテライト戦略として、検討の余地はあるでしょう。
 さて、前置きが長くなりましたが、今回紹介するアクティブファンド一回目はこちら!

『農林中金〈パートナーズ〉おおぶねグローバル(長期厳選)』(目論見書にリンクしてあるので、直接読んだ方が早いよ!)

です!!(以下、「おおぶねグローバル」)
 ちなみに、「おおぶねJAPAN(日本厳選)」もありますが、どちらを買ってもファンドの基本方針は同じです。しかし、やはりグローバルはこれ一本で全世界の「隠れた名店」に投資できるので、個人的にはこちらをお勧めします。
「海外への投資は別のファンドで買うからいいや」
「海外株式はもうインデックスでいいよ」
 という方針を選ぶ方なら、日本株だけ買いたい、という人もいるかもしれませんね。個々の投資方針に合わせた商品を選んでください。どちらにせよ、特徴は同じです。
 以下、長所と思われるところを解説していきます。


1.経済的な濠がある企業を選んで、長期投資


 「おおぶねグローバル」は、実際にその企業に足を運んでリサーチし、経済的濠がある企業を選び出して、厳選投資する、という方針です。方針は3つで、
 ・付加価値の高い産業
 ・圧倒的な強制優位性
 ・長期的な潮流

 の3つを満たす会社に絞って、投資をしているらしいです。
 いや、これだけの条件を満たすような企業に投資できれば、最強だと思います。
 自力で探せるかというとかなり厳しいと思うので、ファンドマネージャーたちに任せるのも、一つの手ですね。
 自分では掘り出せないような銘柄を掘り出してくれると思います。
 ここは、このファンドの最も差別化された点だと思います。


2.信託報酬に自信の表明


 信託報酬制度が、独特の制度になっております。
 ハイ・ウォーター・マークという制度になっておりまして……
 簡単に言うと、「直近の最高値を更新したら、追加で成功報酬貰います」という感じですね。
 詳しくはファンドの目論見書を読んでください。この直近最高値を超えられない場合は、0.33%という、アクティファンドとは思えないような低報酬になるので、かなりの自信を持っていると思われます。
 さらにファンドマネージャーの奥野氏自身が、自らの資産をこのファンドに投入しております。このことからも、マネージャーの相当な自信がうかがえると思います。


3.償還日無期限


 これも地味なメリットです。アクティブファンドには償還日が設定されているものが多く、長期で投資する際にリスクになってしまいます。
 まあ、このファンドも無期限と謳っているものの、当然人気がなくなって消えてしまう可能性もあるわけで、リスクはゼロではありませんが、それを言い出したらキリがないですからね……
 とにかく、長期で投資するなら、償還期限は無制限が前提条件になります。


4.月間レポート


 一つの企業を取り上げて、詳しく解説してくれます。
 聞いたこともない企業でも、強固なビジネスモデルを持っている場合があります。それを詳しく解説してくれるので、個別株投資をしている人には、参考になるのではないかと思います。ただ単に見るだけなら、ファンドを買ってなくても見れるので、一回確認してはどうでしょうか。


5.奥野一成さんが面白いファンドマネージャーである


 奥野さんの著作『教養としての投資』という本があり、これを読んで非常に面白かったので、それがこの「おおぶねグローバル」を知ったきっかけですね。
 けっこう辛辣な口調ですが、ズバズバ言ってくれるのでスッキリしますww
 もちろん、インデックス投資は否定されています。
 そりゃ、アクティブファンド売るんだから、「普通の資産形成はインデックスで十分だよ!」なんて言えませんからね……
 そういう商売上の大人の都合を差し引いても、僕はこの人の言っていることに共感できると思いました。
 一度読んでみて、奥野氏の考え方に共感できたら、ファンドの方も買ってみる、というのもいいと思います。


次は微妙な点です。懸念点ですかね。

1.買い付け方法が「積み立て」のみ


 買い方が指定されているので、なんだかなぁ、という感じです……
 もちろん、長期投資なので、基本は積み立てなんだけど、暴落時などに追加で資金投入したいときも、時にはあります。
 買い方の選択肢がないのは、明確なマイナスですね。
 でも、根本的にファンド自体が悪いわけではないなら、そこまで気にする欠点でもないかな?
 暴落時は積立金額を増やせば、だいたい同じような効果が得られますし。

2.20~30銘柄への投資をどうとらえるか


 世界中の先進国企業から選ぶわけですから、いくら厳選しても、もうちょっとあるんじゃないの? と思っちゃいますね……
 集中的に投資すると、当たった時のリターンもデカいけど、外した時の損失も大きくなっちゃうので、そこらへんは50銘柄くらいあっても良かったのかなぁ、と個人的には考えちゃうわけです。
 しかし、プロの人が30銘柄って決めて選んだのなら、それを信じるしかないのも、アクティブファンドの性質……
 幸い、アクティブなので失敗すれば損切りもするだろうし、ある程度の機動的な運用はするでしょう。そこはインデックスファンドのように、指数に沿う銘柄を指定された比率で組み込むのとは違った運用です。
 つまり、投機リスクがあるというわけです。

3.まだ運用が始まったばかりで、実績を判断できない


 そう、これが最大のリスクではないでしょうか。
 何せ始まったのは20年の3月なので、コロナショック真っただ中に運用開始された「おおぶねグローバル」。船出していきなり市場が大荒れだったわけですが、今のところ順調に基準価格を上昇させています。
 でもまあ、これって普通のインデックスファンドでも、同じ期間を切り取ればほぼ同じだと思うので、今のところはインデックスに対して勝利できているか、判断できません。
 ただ、上昇の具合を見ると、インデックスは20年夏ごろにかけて少し停滞していましたが、「おおぶねグローバル」はそこまで大きな影響を受けずに上昇しているように見えます。強い企業ばかりなので、株価がかなり底堅い印象はありますが、個人の感覚です。
 とにかくデータが足りない、実績に乏しいので、もう少し様子を見てから買ってもいいかもしれませんね。

4.信託報酬高すぎ問題

 そう、さきほど、ハイウォーター・マーク制という信託報酬制度だと言いましたが、それでも超えた部分の10%を信託報酬として持っていかれてしまいます。無論、コスト以上の上昇をすればいいのですが、それだけ報酬で持っていかれると、結局低コストなインデックスに負けてしまうのではないか、という気もしております。銘柄を見る限り、そんな一気に成長するような企業が入っているようにも見えませんし、地味だけど堅調な業績を上げ続け、着実に伸ばしていくタイプの企業に見えます。むしろインデックスでもナスダック100もありますし、急成長を狙うならこっち買えばそれでいいのでは、という気もしないでもない……

5.その銘柄、微妙じゃない……?


 セブン&アイHDが入っている……
 あの上げ底弁当にサンドイッチ詐欺のセブンイレブンが……!!
 まさかあの詐欺商品が強固な参入障壁を築き上げていると判断されたのだろうか……
 という冗談は置いておいて、僕はセブイレは少し懐疑的です。色々理由がありますが、コンビニ自体がもう飽和状態だし、強力なライバルも多いからです。あと上げ底と詐欺商品……
 多分、セブイレは商品開発力がずば抜けているので、そこを評価されたのだと思いますが、どう見ても微妙だと思いました。
 でもまあ、ここは文句を言わずに、信じてみたいと思います。
 自分では買わないような銘柄が入っているのも、アクティブ投信の醍醐味ですから……
 まあ、これはいいだしたらアクティブ投信全部否定することになりますけど、まさかそこまで厳選された投信にセブンイレブンが入っている、というのは何か意図があるんでしょうね。ぜひ月間レポートで解説して欲しいです。
 なお、他の銘柄を見ても、エルメスやフェラーリなど、ブランド系が多い印象です。確かにこれらの企業のブランド価値は凄まじいと思いますが、なんかそれ言い出したらブランド企業だけ買っとけばいいってなりません……?
 まあ、結局は結果を出すことで全て証明されるので、投資家としては結果が出るまで待つだけですが。


総論

 やはり、新しく始まったっばかりということで、「おおぶねグローバル」が資産形成の中心にはまだまだ厳しいかな、と思います。しかし、サテライトとして少しずつ積み立て投資するなら、検討してもいい投信であると思っております。 インデックスでいくら積み立てても、リターンは大体5~7%程度。 やはり10%程度欲しい、というのが投資家の素直な欲望ですww とりあえず、現状は少額で積み立て投資、長期目線で保有しています。 償還期限は無期限ですし、焦らずにおおぶねに乗っかろうと思います。


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