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離れて気づいた。私はパン屋の仕事が好き。

突然ですが、2023年6月やっとパン屋に戻る決意をしました。
(何の宣言…笑)

私、やはりパン屋の仕事が好きみたいです。

実は、ずっとパン屋へ戻るのを迷っていた

14年パン職人を続けて何を今さら…と思われるかもしれませんが、前パン屋を退職した後の私は、本当に燃えカスのようでした。

またパン屋を探して働こうと思えなかったのは、仕事場の人間関係が理由です。
(今でも辞める選択は間違っていなかったと思っていますし、後悔もしていません)

今なら「いやいや、あんたパンでフランスまで行ったでしょうが!」と思いっきり突っ込めても、当時の私は「パン作りが好きです!」なんて言えないほど、パンに対する気持ちがどこかに行っていたのです。

しかも、まだ燃えカスの奥のほうで炎がくすぶっていて「パンに未練がない」とも言えない、なんとも中途半端な状態。
新しい仕事先のパン屋を探す気にもなれず、まったく別の仕事に就く決心もつかず。

宙ぶらりんな気持ちを抱えたままの私は、この機会に一度パン屋から少し距離を置くことにしました。
それが2022年10月のこと。
自分が本当にパンの仕事が好きなのか、じっくり考えようと思ったのです。

▼私の簡単な経歴を紹介している記事はこちらです。

月日が過ぎていく中で答えがなかなか出ない私に、2023年4月、あるきっかけが訪れます。

いただいた果物で酵母をおこしてパン作り

最初は、いただいた果物もパンに使う予定はありませんでした。
しかし、あまりの多さにそのまま食べるだけでは消費し切れず…

キッチンで存在感を放つ八朔に、冬に失敗した天然酵母のリベンジを思いつき、酵母を優先した生活がスタートしました。

4月では温度も安定しないため朝昼晩と発酵状態を観察し、進み具合を確認しては、いそいそと次の工程の準備を始める毎日。
無事に酵母ができた時は本当に嬉しかった。
(1回失敗しているので…)

1週間かけておこした原液を使い、元種が膨らんでいく様子を見ながら、自然と笑顔になっている自分に気が付いたのです。

さらに順調に工程が進み、膨らんだパン生地を触った時のこと。
空気を含んでふんわりと柔らかく、絹のようになめらかな感触が好きで、私はパンの道を歩んできたのだと思い出しました。

「私、ちゃんとパン作りが好きだったんだ…」と認識できても、すぐにパン屋に戻ろうとはならないのが私です…
ここで新たな疑問が生まれました。

パンを作るのが好きなら自宅で作ればいいんじゃない?

確かに、パン屋でなくてもパンは作れるよな…と思う自分がいました。

パン屋の朝は早いし、長時間労働だし、1袋25㎏もある粉袋を何度も運ぶし、腕のやけどはいつまでも消えないし、年中汗だくのすっぴん粉まみれ(小麦粉おしろいともいう…)
見た目以上に苦しいことはたくさんあります。
布団の中で何度「今日休みになれ」と願ったことか。笑

しかし、仕事とは本来楽しいだけでは語れないもの。
苦しいことや悔しいこととともに、嬉しいことや楽しいことがあるのが仕事です。

それに、私はパン作りを仕事に選んだ仲間と切磋琢磨できる場所でパンを作りたい。

一緒に声を掛け合いながらパンを作るチームワークとか、
季節とともに変わる発酵の調整について話し合う時間とか、
新商品をああだこうだ言いながら改良していく真剣な空気とか。

どれも自宅でパンを焼くのでは得られないものです。(たぶん)

「私はコミュニケーションを大切にしてパン屋で仕事をしていたのか…」と気がついた瞬間、ピースがカチリとはまりました。

私はただ職場の環境に疲れ、心の均衡を崩していただけ。
パン作りとは直接関係ないのに、仕事と深く結びついていたためか切り離して考えられず、パン屋での仕事に迷いが生じていたのでした。

パン屋で働くことが好きなことに変わりはなかったと、やっと答えが出た瞬間です。

なので。

宣誓。私はパン屋に戻ることを誓います!

パン屋の仕事から距離を置くと決意をしたときは、不安でいっぱいでした。
(生活費とか、貯金とか、お金とか)

しかし、一度立ち止まって考える時間は、私が何を大切に仕事をしてきたのか気付かせてくれました。
今なら私はパン屋の仕事が好きだと自信を持って言えます。

長くその仕事をしていたからこそ、何にやりがいを感じて何が好きだったのか、なぜその仕事を選んだのか、初心まで忘れてしまっていたのでしょう。
仕事の嫌なことや悪いことばかりに目がいってしまう状況に、私も陥っていたのかもしれません。

現在、私は求職中です。
次の記事は、転職時に気をつけたいことや私が譲れない条件を書き連ねてしまおうかしら。
(需要がない…笑)

雇用形態がどうなっても、パン製造だけは譲れません。
やっぱり、私はパン屋でパンを作る仕事が好きみたいです。

では、また。

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