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怒りをなくすには

「どうしてこの人はいつもこうなのだろう」

職場で多くの人間と接しているとき、私たちはすくなからず怒りや憤りを感じるものです。

それが一過性のもの「あ~むかつく!・・でも明日には忘れられる」という種類のものならまだ良いのですが、「あの人とだけは天地がひっくり返ってもうまくやっていけない」「アイツだけは許せない」というほど深刻になってしまったら。それはあなたの精神衛生にも大変よくない、しかもそのイライラは相手や職場の周囲の人間に伝わっているものと思ったほうが良いでしょう。


その怒り、持つだけ損ではありませんか?


「損、とか、得とか以前にもう感情としてそう思っているのだから、どうしようもない」

そう思う前に一つだけ試してほしい方法があります。あなたの積年の怒り、恨みを消せるかも知れません。消せないまでも軽くすることができるかもしれません。

「自己奉仕バイアス」をご存知でしょうか。近年広く知られてきている認知バイアスなのですが、これは「他人が失敗したときは他人にその原因があり、自分が失敗したときは外部にその要因がある」と物事を自分に有利にとらえてしまう認知の歪みです。

つまり

事象【Aさんが発注ミスをした】→原因【Aさんがズボラな性質だから】

事象【自分が発注ミスをした】 →原因【発注システムが煩雑でわかりにくいから】

また逆に成功した事柄は他人は外部に、自己は自己由来の原因を見出します。

事象【Bさんが出世した】→【Bさんが上司にゴマをすって運よく出世しただけ】

事象【自分が出世した】→【自分の実績と努力が認められた】

同じ事象が起きても自分と他人で原因に差を作り、自分に有利なようにとらえてしまう性質です。人間が自己を精神的に守るにはとても便利なバイアスですが、他人からみたらたまったものじゃないですよね…(しかし少なからず思い当たる節があるのがまた怖いところです・・・)

さて本題にはいりますと、なにも「あなたは自己奉仕バイアスがひどいから、あなたの怒りは不当な認知の歪みだ!」と言いたいわけではないのです。あなたが怒りをもつことになった【他人】にも自己奉仕バイアスを使ってもらうのが、怒りを消化できる一助になるのではないかという提案です。

どういうことかというと

【あなたが怒りをもっている人はどんな自己奉仕バイアスを駆使して生きているのか】を想像してみてください。

あなたが怒りをもつぐらいだから、その人は特に自己奉仕バイアスに偏向した見方でいるかも知れません。

『この部署は俺のお陰でもっているようなものだ、なぜなら俺が優秀だからグフフ』ぐらい思っているかもしれません。

『私がいないと社内の人間関係はグチャグチャよ、気の利く私って大変☆』と考えているかもしれません。

もっと細かく想像してみましょう

『この月の売り上げにつながった案件は俺が引っ張ってきたものだ』

『この部署のBとCは俺が育ててやったんだ、仕事のイロハを教えてやったんだ』

『Dさんが辞めそうなときに引き留めたのは共通の趣味がある私のお陰』

さらに細かく

『OO商事との商談は事実、俺がいないと回らないだろう』

『▲▲と3年間にわたる契約をとれたのは俺のツテがあったからだ』

『私がBを引き留めたから、彼女は会社を辞めずに今も働いている』

・・・・これらあなたが許せない人間が考えうるであろう自己奉仕バイアス的な考えをいくつか想像してみてください。出来れば箇条書きにしたほうがいいかもしれません。

何個思いついたでしょうか、憎くてたまらないあなたの敵ですから、きっと多くの事象があるのではないでしょうか。


では、そのうち、あなたの目から見ても【真実と相違ない】のはいくつあるでしょうか。

事実、彼・彼女がいたからできたことは?

彼らがいなければできなかったことは?

彼らがいなくてもできたこと、彼らの能力や人間関係に寄与しない点は消していただいても大丈夫です。

いくつありましたか?残っているのが「彼らがいなければ成しえなかった事象」です。その中に「たしかにこれが無かったら困るかも」と思えるものはあったでしょうか。それが「彼らがいてくれたことによってあなたがたが得た恩恵」です。彼らがいなければそれらの事象はありませんでした。いかがですか?

もし憎くてしょうがない「彼」がいなかったとしたら、あなたは明日からとても平穏な気持ちで会社に向かえるでしょう。しかしそれは上記の「恩恵」が全くなかった世界です。本当に彼がいないほうが、平穏で、より良いでしょうか?あなたの怒りの先に『彼がいなければ成しえなかったいくつかの事』があるとしたらどうでしょうか。

その怒り、すこし収めてもいいかなと、思っていただけたら幸甚です。


あなたの明日からの生活がより豊かで、朗らかでありますように

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