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司馬遼太郎作品勝手なベスト10

 司馬遼太郎の作品は、ほぼ読んだ。ものによっては何度も読んだ。個人的には作品No1は自他ともに認める「坂の上の雲」であろう。日露戦争を題材としたこの作品はNHKでも連続ドラマになり、評判になった。
 日本人であることの自覚とナショナリズムを喚起させる内容に何度も感動させられた。
 No2は一般的にも僕的にも「竜馬がゆく」になるであろう。この作品で坂本龍馬というキャラクターが確立化され、以後、この型の竜馬でなければ、許せない風潮になった。
 僕はしかし坂本龍馬という人物は司馬作品の坂本竜馬とは全然違うキャラクターであると思っている。むしろ硬派で、ヤクザの親分みたいな人物だったのではないかと考えている。
 有名な話に、中岡慎太郎が芸者と笑いながら写っている写真を龍馬が見て、その写真の芸者と中岡を半分に破って、戒めたという話がある。これでは司馬遼太郎の竜馬っぽくない。だからかこの逸話は小説の中では割愛してある。
「竜馬がゆく」はあくまでフィクションである。嘘が多い。ただ小説としてみるには非常に面白い作品である。
 No3は個人的に「韃靼疾風録」をお勧めしたい。フィクションの日本人が主人公だが、明から清へ移る中国の歴史を書いたものである。女真族のその当時の暮らしや性癖をよく描いている。
 司馬作品の小説は記憶が正しければ、これが最後の小説である。彼は次作にノモンハン事件を扱った作品を書くつもりであったが、取材元の人物と仲違いして、作品化を諦めたらしい。
 彼のノモンハン事件に関する認識は、エッセイ等を見るとかなりバイアスがかかっており、実際の状況とはだいぶ違っているようなので、小説化にはならずに済んでよかったと思っている。
 司馬作品の絶妙なところは、フィクションとわかっていても、実際に起こったことのように読んでしまうことである。一種の魔術である。それは「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」のようなノンフィクションを題材にした小説にも言えることである。
 No4以降は以下の通りであるが、個人的好みで選んだ順位なので、何の参考にもならない。
 ④花神⑤世に棲む日々⑥菜の花の沖⑦胡蝶の夢⑧空海の風景⑨燃えよ剣⑩翔ぶが如く
 まだまだ他にもお勧めしたい作品がいくつもあるが、特に戦国物を選んでいないのが、少し悔やまれる。

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