はこ

日記を書いたり、雑文を書いたり、小説を書いたりします。

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最近の記事

もうすぐムスメが、一歳になります。

今月、12月13日の月曜日に、ムスメが一歳の誕生日を迎える。 きのうの夜、なんとなく新生児のころの写真を眺めていたら、新生児のムスメがあまりにも小さくて儚くてびっくりしてしまった。 そのあと、自分の隣で寝ているもうすぐ一歳になる今のムスメの姿を見たら、なんかめちゃくちゃデカく見えて、さらにびっくりした。 ああそうか、まだたった一年しか経っていないのに、あなたはこんなに大きくなっているのか、と思った。 私は赤ちゃんを産むまで、「赤ちゃん」というのは、本能とやらのおかげですぐ

    • 【短編小説】小石のお姫様と僕の話

       ある日僕が河原を散歩していると、どこからともなく声が聞こえてきた。とても小さな声だったので、はじめは空耳かと思ったが、どうやらそうではないらしい。声は僕を呼んでいて、足元から聞こえてくるのだった。 「わたくしです、わたくしです」  きょろきょろ探してみると、河原に落ちている無数の小石のなかで、いっとう小さなやつが喋っている。 「僕に話しかけているのはきみかい」 「はい」 「僕に何の用だい」 「わたくしをお忘れですか」  可憐な声に問われる。考えてみたけれど、僕には小石の知

      • 【短編小説】あたしの透明な恋のはなし

         そのときあたしは、柔らかい春の陽射しに夢中になっていた。  一面水色に晴れ渡った、気持ちのよい空。燦々と降り注ぐ明るい陽射し。日光浴っていいものだ。暖かいお日様にもっと近づきたくて、あたしは町で一番大きな、佐藤さんちの屋根に登った。ぐん、と迫るお日様に、こんにちはと声をかける。  目の前を、蝶々が飛んでいった。名前は知らないけれど、黄色が鮮やかな、綺麗な蝶だった。あたしは手を伸ばして、その美しい姿に触れようとした。ひらひら瞬く羽が、ちょっとだけ指先を掠めて、さらに高く上って

        • わたしを許すのは、誰だろう?

          足りないなあ、と思いながら、29年間生きてきた。 足りないのは、他でもない私自身だ。 毎年毎年、友だち作りが苦手なことを思い知らされる、クラス替えとか。 会社の同期の中で、わたしだけ任されている仕事が少ないことに気がついた新人時代とか。 みんなと同じようにやっているつもりなのに、いつも一歩、出遅れる。 みんなみたいに、感じのいい会話をさらっとこなすことができない。要領よく、次々仕事を覚えていくということが、できない。 「足りないわたし」が常にあって、だれかが「すてきなこと

        もうすぐムスメが、一歳になります。

          たった31文字で「あたらしい私」を許すことができた話

          「あ、これ、マタニティブルーだな。」  そう気づいたのは、2020年の10月中旬。産前休暇まであと1ヶ月を切ったころだった。 マタニティブルーズ。ホルモンの乱れが原因で起こる、産前産後の情緒不安定。漠然とした不安に襲われたり、わけもなく涙が出たり、イライラが止まらなかったり。 そういうものがある、ということは、妊娠前から知ってはいた。子どもが欲しい、と具体的に考えるようになってからは、症状について、自分で調べてもいた。 なるほどねえ。大変だねえ。私も、生理前にはPMSを経験

          たった31文字で「あたらしい私」を許すことができた話