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アルツハイマー病とホスファチジルセリン

ひっそりと忍び寄る、おそるべき不治の病「アルツハイマー病」

認知症のなかで最も多いのが、アルツハイマー病です。厚生労働省科学研究の資料である2013年5月報告の「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」からも、アルツハイマー型認知症は67.6%と最も多い比率となっています。

通常、アルツハイマー病は40代・50代の頃にその芽が育ち始め、無症状のまま数十年進行します。普段通りの日常を送る間に、脳内の神経細胞は死滅を続け、脳はゆっくりと委縮していきます。

芽が育ち始めてから20〜30年後、病気の進行がいわゆる”転換点”を超えると、アルツハイマー病を発症し、重度の記憶障害や人格障害などが引き起こされます。一度こうなると、対策としては、副作用のある薬剤を使ってわずかに進行を遅らせるのみです。

アルツハイマー病が生活にもたらす影響は破滅的で、トイレや食事といった日常的な動作さえ難しくなるばかりか、長年連れ添った家族の顔や、自分が誰なのかということもわからなくなり、やがて運動機能をつかさどる脳の部位が破壊され、ほとんど寝たきり状態になります。末期に至るまでの期間は平均して発症から8年と言われています。

現在のところ、アルツハイマー病を完全に治す治療薬はありません。治療としてできることは、できるだけ症状を軽くし、進行の速度を遅らせることです。そのため、予防または早期の発見と対策が、とても重要です。

アルツハイマー病の原因は脳に溜まったゴミ!?

アルツハイマー病患者の脳を解剖すると、そこには明確な特徴があります。脳の表面に大量に浮いた、老人班と呼ばれる銀色のシミです。このシミはアミロイドβ(ベータ)というベトベトした粘着性のたんぱく質でできています。

アミロイドβはいわば脳のゴミであり、健全な状態であれば、脳の血管を通じて体外に排出されます。しかし何らかの理由により排出がうまくいかなくなったり、分泌が過剰になったりすると、アミロイドβ同士が結合し、どんどん巨大化しながら脳の表面に溜まり始めます 。脳に溜まったアミロイドβはやがて強力な神経毒を放ち、正常な神経細胞を次々と破壊していきます。
つまり、このアミロイドβの蓄積が、アルツハイマー病を引き起こ原因の一つに考えられています。

最新研究から、アルツハイマー病予防に光!

日々の食事で予防

認知症研究の世界的権威、ブレデセン博士が発表した論文によれば、早期の生活習慣の改善といくつかのサプリメントの摂取によって、初期アルツハイマー病患者の9割が回復に成功した報告されています。
The End of Alzheimer’s: The First Program to Prevent and Reverse Cognitive Decline. Dale Bredesen, ‎Avery, 2018

アルツハイマー病対策に重要なのは日々の食事だと言われています。私たちの脳は、私たちが食べたものから作られており、脳を健康に保つための栄養素も食事から摂取しているからです。また、近年の研究結果から、食材中の成分が、アルツハイマー病の原因物質を脳から除去する効果があることもわかってきました。

ここからは、最新の研究で注目されている、アルツハイマー病を中心とする認知症対策に有効な成分ホスファチジルセリンをご紹介します。聡明さを失わず、大切な人に介護の負担をかけず、自立した長い人生を楽しむためにも、ぜひ日々の生活に取り入れていただければと思います。

ホスファチジルセリンの効果

認知症対策に最も注目されている成分が、大豆由来のホスファチジルセリンです。ホスファチジルセリンは、脳に不可欠な栄養素であり、アルツハイマー病にも深い関わりがあります。

アメリカでは、FDA(食品医薬品安全局)によって脳機能への有効性が認められた唯一の機能性成分で、サプリメントとして広く普及しています。日本では、テレビ番組の「世界一受けたい授業」で、「脳を活性化させる驚きの食品、ブレインフーズ(脳の食べ物)」と紹介されたことでも、一躍話題になりました。

アルツハイマー病の研究実績が多い

多くの研究成果から、アルツハイマー病に効果のあることが証明されています。

アルツハイマー病の患者にホスファチジルセリンを1日200~300mg、2か月日から6ヵ月間摂取させたところ、認識力や記憶力、注意力、集中力、学習力、異常行動などが改善することがわかりました。
ーPsychopharmacol Bull, 28:61-6, 1992.

高齢のアルツハイマー病患者が、ホスファチジルセリンを1日200mg、3か月間摂取した結果、記憶力、情報処理能力、日常動作を行う力が、大きく改善されることがわかりました。
ーPsychopharmacol Bull, 24:130–134, 1988.

アルツハイマー病患者が認知能力トレーニングを行う際に、ホスファチジルセリンを1日400mg摂取したところ、認知能力トレーニングのみを行う場合と比べて、脳機能を測定するテストの言語、思考、認知、記憶、行為、注意の点数が大きく改善されることがわかりました。
ーDementia, 5:88–98, 1994.

初期の軽症なアルツハイマー病患者が、ホスファチジルセリンを1日300~400mgで長期間摂取すると、認知機能が改善されることがわかりました。
ーANN NY Acad Sci, 695:327-331, 1993.

認知機能、特に記憶力を改善する効果

認知機能研究の、特に記憶力の分野では、ホスファチジルセリン(PS)は最も成果の多い成分です。ホスファチジルセリンについて公表された研究論文は、これまでに3000近くもあり、有効性が認められています。
ホスファチジルセリンを高純度で含む食品(リパミンPS)を、高齢者が摂取した結果、記憶力に大きな改善がみられました。

※リパミンPSとは、ホスファチジルセリンのサプリメント製造するための原料です。ホスファチジルセリンには、様々な原料がありますが、リパミンPSを原料とするサプリメントは、ホスファチジルセリンを高純度で含んでおり、品質が高いといわれています。

T.H. Crook. Treatment of Age-Related Cognitive Decline: Effects of Phosphatidylserine. Anti-Aging Medical Therapeutics, Health Quest Publications, Chicago, 20-29(1998)

他にも、被験者がホスファチジルセリン300mgを12週間摂取したところ、脳年齢が12.3歳若返ったという研究結果があります。

なぜ、ホスファチジルセリンが良いのか?

なぜホスファチジルセリンが、脳を活性化するのでしょうか。
その理由の一つは、ホスファチジルセリンが、脳の細胞膜をやわらかく保つからです。簡単なことに聞こえるかもしれませんが、実は、アルツハイマー病や認知症対策に非常に重要なことなのです。

もともと細胞膜は、有害物質が細胞内に入るのを防ぐ、フィルターの役目があります。しかし、細胞膜は年をとるにつれて硬くなり、徐々に必要な栄養素や酸素が脳細胞に届かなくなります

それだけでなく、加齢によって、脳内の老廃物の排出もうまくいかなくなります。アルツハイマー病の原因は、アミロイドβというゴミの蓄積によるものでした。脳の細胞膜が硬くなってしまうと、このアミロイドβの排出がうまくいかず、蓄積が加速します

ホスファチジルセリンは脳を健康に保つ

ホスファチジルセリンは、脳の細胞膜を柔らかくする作用があります。細胞膜が柔らかくなれば、脳に十分に栄養や酸素が供給され、アミロイドβが速やかに血管を通って排出されるようになります。その結果、若い頃のように綺麗な脳が保たれ、認知症を発症しにくくなるのです。

また、ホスファチジルセリンの多い脳の細胞では、シナプスの働きが強化され、より多くの情報を伝達できるため、頭の回転が速くなるといわれています。実際にホスファチジルセリンは受験生などの勉強サプリの成分としても有名です。

ホスファチジルセリンを積極的に摂取することが重要

ホスファチジルセリンは、脳の新陳代謝によって絶えず入れ替わります。体内でつくられますが、年齢とともに低下することが知られています。

ホスファチジルセリンなど脳機能の維持に必要な栄養素は減少する

したがって、そのままでは不足してしまいます。ホスファチジルセリンを含む大豆や卵などを多く使った食事を毎日とるか、サプリメントから摂取する必要があります。

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