周りにどんなに「価値があるもの」があったとしても、それを認識することができなければ「ない」ことになってしまいます。
同じものを見ても、ある人には価値が見え、ある人には価値が見えない。
それはマーケット感覚があるかどうか、そう本書では語られています。
以下、私が大事だと思った部分を引用も交えながら要約しています。
第1章 市場と価値とマーケット感覚
マーケット感覚とは、その市場で取引される価値が何か、感覚的に理解できる能力。
「誰に何の価値を提供するか」という視点が大事。
「取引されている価値を論理的に分解する」ことができると、マーケット感覚が活用できる。
第2章 市場化する社会
相対的であった社会が、全体として市場化している。
需給バランスの変化が今の社会は大きく、それによって働く機会や報酬は影響を強く受ける。
市場の状況を正しく判断するためにマーケット感覚が重要となる。
第3章 マーケット感覚で変わる世の中の見え方
マーケット感覚が身につくと、世の中の見え方が変わり始める。
第4章 すべては「価値」から始まる
ノウハウや知識を覚えると一時的に売上は上がる。
しかし重要なのは、経験したことのない場面に遭遇した時にも、自分で判断できる独自の基準や肌感覚を持つことである。
「自分は何を売っているのか」「何を買っているのか」について、意識を持つ。
ただ商品(モノ)を買っているのではなく、それに付随している価値を買っているということを頭に置く。
第5章 マーケット感覚を鍛える5つの方法
①プライシング(値付け)能力を身につける
身の回りのまだ商品化されていない「何か」について、独自の基準でどのくらいの価値があるか考える。
「自分の価値基準では、いくらが妥当なのか?」という思考をすることが重要。
自分の価値判断ができないと、今は値札が付いていないモノに対しての価値が見えてこない(これは自分の取り柄が見えず、価値がないと思ってしまうのと同じ)。
②インセンティブシステムを理解する
インセンティブシステムとは、人が何か特定の言動をしたとき、背景にある要因や、その要因が言動につながるまでの仕組みのことである。
これが理解できると、市場における需要者や供給者が何に基づき、次にどんな行動をとるか、予測する力になる。
③市場に評価される方法を学ぶ
「組織」と「市場」の意思決定スタイルの違いを理解し、市場に評価される方法を学ぶこと。
これまでは重要な意思決定は組織の中で行われてきたが(例:国や地方公共団体)、最近は多くの重要な判断が市場のダイナミズムの中で行われるようになっている。
④失敗と成功の関係を理解する
「失敗経験がない」=「チャレンジをしていない」「成功するのに必要な学びを得ていない」。
⑤市場性の高い環境に身を置く
市場性の高い場所とは、需要者と供給者が価値を交換する現場、人間のインセンティブシステムが直接的に働く場所、市場的な意思決定方法が採用されている環境のこと。
ゼロから何かを生み出すのではなく、既存のモノが新たな価値を生むということに気づかされました。
それを見極める力、マーケット感覚を身につけることこそが、社会を生き抜く力になるのだと実感します。
自分の好きなことで生きるためにも、身につけたい力だと強く思いました。