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【読書記録】田村セツコ『85歳のひとり暮らし ありあわせがたのしい工夫生活』【お金より大切なモノ】

田村セツコさんの自宅の写真が挿入された、目でも楽しい本になっています。
田村セツコさん、イラストは見たことがあったのですが、ご本人もとてもかわいらしく、「こんな歳のとり方をしたい!」とワクワクしてしまいました。


人生の先輩のお話を聞くのはとても面白いです。
歳を重ねたからこそ、見える世界があるのだと思います。
田村さんのお金はかけない、工夫をして自分の「好き」をつくる、その世界観が素敵です。


以下、心に残った部分を引用します。

 朝起きたとき、あたり前だと思ってることを発見しなきゃいけないと思っているの。
 だから毎朝、手足を確認して、手足が動いてるなんてうれしい、わーすごい。新聞を読もうと思ったら、ちゃんと目が見える。やだ、耳も聞こえる。テレビやラジオをつけたら、音も聞こえる。
 で、ゆっくり起きる。歩けてうれしい。うわーラッキー。
 そういうことを毎朝確認して、うれしくなっちゃうんですよね。
 それでまわりを見回すと、新しい日の光、新しい空気。水道をひねれば水が出る。ぜいたく。
 そういう普通のこと、あたり前だと思ってることに気づいて、毎日喜ぶ。「やったー、ラッキー」って。
 年をとったら、そういうことをあたり前だと思わないで、新鮮に感じる。そんなアンテナを張っているの。
 魔法の言葉は「ありがとう、うれしい」だからね。なんでも「ありがたい、うれしい」と思うと、だいたい心配事がほとんど消えていくような気がする。

p.23~24

 わたしは毎日、亡くなった人の名前を口にしてお祈りをしているの。
「お父さん、お母さん、ひろこ、ふじおちゃん、ふさこさん……」ってね。
 みんな亡くなった人だから過去の人なんだけど、お祈りをすると現役になるんですよ。
 その人たちに毎日応援してもらってる感じかな。
 出かけるときに、「お父さん、お母さん、ひろこ、ふじおちゃん、ごにょごにょ……」って全部名前をいって、「行ってまいります」っていうの。
 生きてるのと同じ。

p.53

 わたし、身のまりのものを自分の応援団と解釈するの。なんでもわたしを助けてくれるって。
(中略)
 生きてる人も、亡くなった人も、お友だちも、みんな「ああだ、こうだ」なんていわないけど、応援してくれてるんですよね。
 それが気がつけば応援団なんだけど、気がつかないと誰もいないの。自分ひとりなんです。
 だけど、あの人も応援してくれてる、この人も応援してくれてる、ありがたいってね。有名人でも、本の中の人物でも、お気に入りはみんな自分を応援してくれてると解釈すればいいの。

p.98~99

 もしわたしが寝たきりになったら、ベッドの中でお散歩して、頭が異界の人々とつき合うので、とても賑やかになると思うの。
 うわごと、つぶやき、波動が広がって、生きてる人、亡くなった人、いろいろな人とね。
 寝たきりになると頭がとても活発になる。一晩に相当なボリュームの情報がダンスしている。スイングしている。
 だから、寝たきりになるのも楽しみなわけ。寝たきりになったら、ベッドルームをワンダーランドにして、そこで仕事をしたい。

p.102~103


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