痛そうな傷跡?
大吾の手術の日がやってきた。
朝一番で手術をし、経過が良ければ夕方には家に帰れると言われた。
大吾を手術室に送り出し、待合室で終わるのを待っていた。手術をして可哀想という気持ちは、全くなかった。手術室経験者からすると、麻酔医さえちゃんとしていれば、痛みのコントロールはうまくやってくれるはずと思っていた。
暫くし、終わったことを告げられた。
大吾は、痛み止めの強いものを使用していた為寝ていた。
その間に、軽く医師から説明があった。
やはり、精巣には精子がいた。しかしあまり状態は良くないと告げられた。ほんと勘弁してくださいと思ったが、全くいい精子がいないわけではなく、顕微授精をしたら、授かれるという説明を聞き少し安心した。
目覚めた大吾にもその事は告げた。もちろんいいところだけだ。
その後2人揃って医師からまた説明を受けた。顕微授精をこの病院でしてもいいが、不妊治療専門のクリニックの方が通いやすいだろうからと言われ、病院を紹介してくれた。
夕方、動けるようになった大吾と一緒に家に帰った。
傷跡見せてって言いたかったけれど、場所が場所だけに言えない。どうやって傷口を保護しているのかもわからず、想像だけしたが、想像だけでも痛そうだなと思った。
本人的には思ったほど痛くなかったとは言っていた。頑張ったねと褒めてあげた。男は、女の褒め言葉に弱いので喜んでいた。
後に、もう一度この苦しみを味わうとは知らずに。
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