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不妊治療から学んだこと

大吾の精子を採取した病院からの紹介で不妊治療専門病院に受診に行った。

新しいビルの一角にある病院で、医師はまだ30代前半で、看護師の私としてはベテラン感がない所に不安を感じた。

人当たりはよく嫌な感じはしなかったので、この人にかけるしかないかと思い説明を聞いた。

大吾の場合精子の動きも悪い為、体外受精ではなく顕微授精をし、私の卵子を採卵し、顕微授精させてある程度育ったところで子宮に戻すといった手順で治療を進めると言われた。

顕微授精をするには点鼻薬や、ホルモン注射などが必要で、特にホルモン注射は、卵胞が育つまで毎日打ちエコーをみながら採卵する日を決めるということだった。

色々不安な気持ちはあったが、前向きな性格でもあるので、一通りの事前検査を済ませ治療を受けることになった。

点鼻薬に関しては、毎日同じ時間にしなければいけないということで、仕事の支障がない時間を選び行ったが、看護師は不規則な勤務な為時々職場でもしなければいけない時もあった。注射も毎日は通えない為、持ち帰り同僚に打ってもらうこともあった。

何よりエコー検査と、その結果の採卵日の決定が、重要なのだが、不規則な勤務な為急な勤務変更を要することもあるので、上司に相談をした。まだ世間が不妊治療だったり、年休取得年5回義務化などといった制度もなかったので、休みも取りづらい状況だった為言い辛くもあったが、とりあえず打ち明けた。

案の定、急な休みは困るという返事があった。不妊治療を始めようとしている不安でいっぱいな私には、職場の理解が得られないと言うことは絶望的に感じて、そのまま仕事中にも関わらず倉庫の中で泣いてしまった。

でも、泣いていても始まらないと思い、再度上司に申し出をした。嫌々ながら休みの許可をもらえたが、その後も治療の度に嫌な思いをしたり、その後子育ての時も色々嫌味を言われたりすることもあった。

自分のことでは泣かないのに、子供のこととなると悔しくて泣くことが、多かった。その時の体験から、不妊治療や、子育て中の看護師が急遽休んだりすることに対しては、決して文句を言わないようにしようと心に誓った。

この件を大吾に話をしたら、上司にキレまくり、俺が電話すると言い出し、止めるのに必死だった。
自分以上にキレてくれる事で、少し気持ちが楽になった。

働きながら不妊治療をしている人にとって、今は少し理解が得られてきてるのだろうか。助成金が出るようになって金銭面では少しは、楽になったかもしれないけれど、それ以外にも精神的に辛いことが多い。

少しでも精神的な苦痛なく治療ができる世の中になってくれたらと切に願う。

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