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1回目の顕微授精

治療を開始して順調に採卵に向けてすすんでいった。
エコーで確認し採卵するのに最適な大きさになってきた頃に、医師が、「この日採卵が1番いいんだろうけど、休日だから次の日にしましょう」と言った。

こういう説明に、若手とベテランの違いが出てくる。
患者としては、最適な時にしてほしいと望む。それを1日ずらしてされて、もしも治療に影響したらとか、50万も出してるなら休み返上しても良くないとか、たった一言が不信感につながってくる。

医師の休日のために、私の最適なタイミングがずらされてしまったが、ちょっとした不信感を持ちながらも、初めての採卵に臨んだ。
静脈麻酔を使って、8個採卵する予定と説明され、処置台の上に登った。

静脈麻酔を打ちますと言われ薬が投与される。
麻酔が効く感覚は何度味わっただろうか。あのこの世とあの世の境目感は、なんとも言えない感覚だ。

目を覚ますと、医師から7個取れましたよと言われた。
8個と言われて7個と言われると、またもや不信感が増す。それでもお任せするしかない。

顕微授精に望みをかけその日は帰宅した。
次の日病院に確認すると、7個のうち3個授精したと言われた。3個。。たくさん授精すると凍結保存できて次に使えた。3個だと次また採卵からのスタート。
それだけで落ち込んだけれど、落ち込んでも仕方がない。ある程度育つまで様子を見るしかない。

3日後に、受精卵(胚)を戻すことになった。戻すにあたり尿をたくさん溜めておかないといけないと言われ、限界ギリギリまで溜めた。その状態で子宮に戻す処置が行われたが、限界ギリギリまでの我慢は本当に辛かった。

後は、2週間後の妊娠反応検査までホルモンの補充をして待った。この間2週間が待ち遠しく、体の真ん中の子宮の位置がはっきりわかるくらい、全神経が子宮に注目していた。

2週間なんて当然待てず、10日目で妊娠検査薬を買って調べた。結果は陽性、30歳での妊娠、出産を叶えることができた喜びで、早く病院に行って確かめたいという思いでいっぱいになった。

やっと14日経過し、エコー検査をした。エコーには胎嚢がうつっていた。無事着床はしていた。
受験が合格した時みたいに涙が出るほど嬉しかった。

1週間後小さな心臓が動いているのが見えた。

その1週間後、動いていたはずの心臓が止まっていた。



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