常連がお店をつぶすことも

飲食店に限らずサービス業で顧客満足度を高めるには、施設や従業員がいくら良くてもお客さんの振る舞いが重要である。
 
■あるリゾートホテルで
あるリゾートクラブに宿泊したときのこと。施設、料理、従業員の躾、すべてに満足度はそれなりに高かったが、唯一の致命的欠点はお客の質の悪さであった。
レストランでの傍若無人な振る舞いや、夜遅くまで部屋で騒ぎ続けたり、トイレを汚したりするのには正直辟易した。
 
■常連客は大事だが
最近、良い居酒屋を見つけたので何回か通っている。料理も酒も旨いし、価格はリーズナブルで、思いの外いつも空いているのがいい。
しかし、何回か通っているうちに空いている理由がわかってきた。居心地が良くないのだ。つまり、常連客が多く、新参の客には冷たい雰囲気。また、常連客の中にはその立ち振る舞いに問題がある人が少なからず存在した。わがままなのだ。店の人が困った顔をしても、わがままのし放題。
お店にとって常連客は大事だが、わがままな常連客は排除しないと、新規の客が入ってこない。固定化された常連客だけでは、お店は徐々にじり貧になっていく。
つまり、新しいお客がフリで入ってきても、お客の後入れ先出し状態が続く。固定化した顧客にとっては居心地が良いが、新規の顧客は増えなく、だんだん自家中毒状態のとなってしまう。誤解を承知で言えば、良い店を潰すのは結局お客さんであることが多い。
 
■新人が育つ組織
日本の多くの会社組織も似たような組織風土になっていることが多いのではないか。新卒やキャリア入社の新人が定着しない、育たない、そのような組織の特徴は、良い意味でも悪い意味でも常連客に相当する社員の存在である。
その会社組織の流儀や立ち振る舞いを覚えて一員になるまでに、思いの外時間がかかる。組織の一員とならないと、結局は孤立し情報が遮断されて退社することになる。
常連という名の単一文化となった組織では、人材は後入れ先出しとなりがちである。新しい人材が定着せず育たない単一文化の組織は、右肩上がりのときは生き残れても、今のような激動の時代には生き残れない。
いくら会社やオーナーに忠誠心が高いまとまりの良い集団でも、世間の常識からかけ離れていては、今の時代存続することは難しい。世の中の変化に適応するには、社員の多様性を維持することが必須のことである。
 
 
良い居酒屋をダメにするのは、多くの場合単一文化の常連集団による自家中毒である。新しいお客が入ってこないとだんだんお店の魅力も無くなり廃れていく。同じように良い会社をダメにするのも、組織に対する忠誠心が高い単一文化の常連社員集団であることがあるのではないか。 
                        その34:2023/11/24

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?