朗読等の音声収録をしていると

突然、家の前の道路を
愉快な音楽を流しながら
移動販売車が通り過ぎたり

「ピンポーン♪」
と、玄関のチャイムが鳴って

「あら？誰かしら？」
と、慌てて収録を
中止する事があります。

私の音声収録場所は、
自宅の主に雨戸のある部屋で

収録時間は、
生活の隙間時間内

家に誰もいない時を選んでいます。

それは、
限られた少ない時間ですので

目標の７０％まで到達出来れば
「ほっ…今日はいい日♪」

急な用事、近所の工事、
突然の来客や悪天候等
自分では、どうにもならない時は
「今日は、仕方なし。」

ささやかな収録機材を
そっと、お片付け。

収録に
お邪魔してくる音の中で
ほっこりしたのは、
近所の犬さんの声。

その日は、
雑談の収録をしていまして
ゆるゆるとひとり
マイクに向かってお話していると
相槌を打ってくれる様な
絶妙なタイミングで

「ワン！」
「ウォーン！」
「バフッ！」

これには、
さすがに笑いが
止まらなくなりました。

飼い主さんに、
犬さんの出演依頼を
交渉出来たなら
そのまま
配信してもよかったかも。
(そんな勇気ないんですけどね…。)

後、偶然なんですが
自作詩「夏の終わりに　もう一度」
という作品の朗読を
収録していましたら

朗読の終わり頃に
庭で鳴いていた
蝉さんの声が入ってしまいました。

収録した音声を確認したら
小さな綺麗な鳴き声が
まるで効果音の様で
何だか風情を感じまして
蝉さんには出演交渉はしなくても
大丈夫でしたので
そのまま特別ゲストさんとして
参加してもらいました。

こんな風に
収録に生活音や周囲の音が
入った時に思い出すのは

子供の頃、
テレビで歌ってる
好きなアーティストさん達の
歌を録音したくて

ラジカセを
テレビにくっつけて
家族に「しーーーっ！」
と、ジェスチャーしながら
録音していた頃の事。

我慢しきれなくなって
くしゃみをするおばあちゃん。

「カープが勝ちそうじゃ！」と
喜んで大声で部屋に入って来る父。

父を見つけて大喜びする犬さんの声。

全部まとめて録音されてしまう
いにしえのシステム。

今と違って
新しい歌をいつでも聴きたかったら
頑張ってラジカセ片手に
テレビから流れる歌を
カセットテープに録音して
それを、ウォークマンという
持ち歩ける文庫本程のサイズの
機械に入れて、イヤホンで聴く。

ちょっと待ったら
隣町のレンタルレコード屋さんで
貸し出しがはじまるのだけれど
それまで待てなくて

録音しては、友達と
お互いの好きなアーティストさんの
歌を録音したものを
聴き合いしていたっけ。

その音の中には
それぞれの
家族の声や
ペットの声や
ドアを開け閉めする生活音や
通り過ぎる車の音なども
歌と共に入ってて
なんとも、ゆるい時代だったなぁ。

あの頃、
録音したカセットテープは
何処へ行ったのだろう？

引っ越しを繰り返している内に

いつの間にか
消えていたんですよねぇ。

𖤣𖤥𖠿𖤣𖤥𓂃◌𓈒𓐍𓂃𓈒𓂂✿.*𖤣𖤥𖠿𖤣𖤥𓂃◌𓈒𓐍𓂃𓈒𓂂